小説「新・人間革命」広宣譜9 2014年 11月27日

宗門からの質問には、男子部の区幹部が、「日蓮大聖人直結の創価学会」と記したことを取り上げて、大聖人直結とはどういう意味かを尋ねるものもあった。
法主の存在を否定するのかという趣旨を含んだ問いである。
これは、御本尊に南無し奉り、境智冥合することを述べたものであり、法主の存在自体を否定するものなどではない。
僧たちは、「教義の逸脱」だとして、学会を攻撃する材料となる文言を、躍起になって探し出そうとしていたのである。
山本伸一が、「創価仏法」という言葉を使ったことに対しても、「創価仏法とは何ですか。
日蓮正宗の仏法の外にあるのですか」と尋ねてきた。
伸一は、折伏・弘教のため、社会に仏法を展開するとともに、実践の教学の意義を込めて、「創価仏法」との表現を用いたのだ。
また、「創価」すなわち価値創造とは、幸福の創造にほかならない。
したがって、幸せを築き上げるための仏法という意味で、使ってきたのである。
さらに、教学部幹部が、「日蓮大聖人の生命哲学」と表現したことに対しても、宗門は、これは「『日蓮大聖人の仏法』というべきであります」と言ってきた。
仏法の法理を、「生命論」や「生命哲学」として論じていくことで、広く人びとが仏法を理解する素地をつくることができる。
仏法の展開のためには、時代に対応しながら、さまざまな現代の哲学、科学の成果を踏まえ、わかりやすく論じていくことが不可欠だ。
仏法を、いかに時代に即して展開していくか──それは、広宣流布を推進するうえで、最重要のテーマといえよう。
その責任を放棄し、努力を怠れば、広宣流布の道は閉ざされてしまうことになる。
だからこそ、学会では、そこに最大の力を注いできたのだ。その着実な努力があったからこそ、世界の指導者、識者も、日蓮仏法に刮目し、共感を寄せ、世界宗教へと発展してきたのである。