小説「新・人間革命」広宣譜25 2014年 12月16日

山本伸一は、練馬の代表との懇談会で、北町の各支部の組織の実情を尋ねたあと、具体的な事例を通して、支部長・婦人部長の在り方について語っていった。
「退転し、学会から離れていった人も、大きな心で包んでいくことが大事です。
人と人のつながりを切り捨ててしまうのではなく、『友だちなんだから、困ったことがあったら相談に来なさいね』と言ってあげるぐらいの度量が必要です。
また、退転した人が出たならば、残った一人ひとりを、焦らずに、一騎当千の人材に育て上げていけばいいんです。
その方々が、五倍、十倍の力を発揮できるようになれば、支部は、むしろ大発展していきます。
そのためにも支部長・婦人部長は、全支部員と会って、皆をわが一念に収めて、「一人も漏れなく、広宣流布の勇者に育てよう!」「断じて皆を幸福にしてみせる!」と決めて祈り抜いていくんです。
そうした分だけ、諸天善神が、自分を守ってくれるんです。
幹部は、会員の皆さんにご奉公するのだというつもりで、活動していってください。
私もそうしてきました。
信心をしていても、皆さんご自身、さまざまな悩み、苦しみがおありだと思います。
そのうえに、組織の責任を担うことは、全支部員の苦悩を分かちもつということです。
自分の体の何十倍もあるような悩みの重荷を背負って、急勾配の坂道を上るようなものかもしれません。
しかし、多くの友の苦悩を、わが苦とすることによって、自身の境涯を大きく開いていくことができる。
最も大変ななかで、広宣流布に邁進するからこそ、大福運を積み、大功徳を受けていくことができる。
その仏法の因果の理法を忘れないでいただきたい」
自らも宿命と闘い、苦悩しながら、友の幸せを願って、悩み、励ます。
それが、末法出現の地涌の菩薩である。
そこには、人間として最も尊貴な輝きがあり、その生き方のなかにこそ、仏法の人間主義の光彩がある。