小説「新・人間革命」広宣譜34 2014年 12月27日

「関西の歌」を発表した大阪長の不破城泰敏は、叫ぶように訴えた。
「私どもは、山本先生の真心こもるこの歌を、声高らかに繰り返し歌いながら、常勝の空を、さらに晴れがましく翔ていこうではありませんか!」
怒濤を思わせる賛同の大拍手が、いつまでも、いつまでも鳴りやまなかった。
「さあ、それでは、全員で元気いっぱい、『関西の歌』を大合唱しましょう!」
司会が言うと、壇上に、歌詞を記した巨大な幕が下りてきた。
「おおっ!」
驚嘆の声が広がった。縦約五メートル、横約二十メートルの幕に、一文字が二十五センチ四方の大きさで歌詞が書かれていたのだ。
幕の左側には、二十一年前、あの大阪大会が行われた、レンガ造りの中之島大阪市中央公会堂が大きく描かれている。
「関西鉄人会」のメンバーによる渾身の力作である。
力強い調べに合わせ、同志の手拍子が新生の鼓動を奏で、歓喜の大合唱が始まった。
 
 今再びの 陣列に
 君と我とは 久遠より……
 
 皆、心に熱い血潮をたぎらせながら、声を限りに歌った。
ある人は、「君と我とは 久遠より」の一節を歌いながら、感涙に眼を潤ませた。
ある人は、「愛する関西 勇み立て」との言葉に、胸を揺さぶられる思いがした。
ある人は、「いざや前進 恐れなく」に、無限の勇気を覚えながら熱唱した。
壇上には、共に戦い、常勝と不敗の歴史の礎を築いた山本伸一がいた。
皆、涙に霞む目で、その姿を見つめつつ、再びの出発を誓うのであった。
伸一もまた、関西の不二の同志に熱い視線を注ぎながら、心で叫び続けていた。
 愛する、愛する関西の同志よ! 未来永劫に関西は、正義の旗が高らかに翻る常勝の都であれ! 民衆を守り抜く人間讃歌の都であれ! 関西がある限り、学会は盤石だ!