小説「新・人間革命」広宣譜36 2015年1月1日

人類は、黎明を待ちわびていた。眼を凝らし、固唾をのみ、漆黒の海を見つめる。
暁闇を破って、黄金の光が走った!
金波銀波が煌めく彼方に、雄々しく白光を放って、旭日が躍り出る。
朝だ! 「世界広布新時代」の大空へ、太陽の仏法は昇った。
光は、刻一刻、一切衆生の無明の闇を払い、万人の生命の「仏」を覚醒し、幸と歓喜の光彩を広げていく。
日蓮大聖人は、「天変地夭・飢饉疫癘」の蔓延する世に、「立正安国」の旗を掲げて一人立たれた。
そのバトンを受け継いだ創価の師弟が今、地涌の大行進を開始するのだ。
人心はすさみ、世界には、不信と憎悪の分断の亀裂が幾重にも走る。戦火は果てず、自然もまた、凶暴な牙を剝き、人びとは、不安と恐怖の濃霧のなかをさすらう。
急がねばならぬ! 友の胸中に、人間主義の慈悲と正義の旗を打ち立て、世界を結ぶのだ。
一個の人間の生命を変革し、社会、人類の宿命の転換を成し遂げ、崩れざる平和と繁栄を築くのだ――これが、「立正安国」だ。
これが、われらの尊き使命だ。
さあ、心に太陽をいだいて、躍進の第一歩を踏み出そう!
「躍進」とは、歓喜踊躍の前進だ。
御聖訓には、「我心本来の仏なりと知るを即ち大歓喜と名く所謂南無妙法蓮華経歓喜の中の大歓喜なり」(御書七八八ページ)と。
私たちは、本来、仏である。
その仏が、末法衆生救済を誓願し、あえて悪業を担い、苦悩を背負って、この世に出現したのだ。
それは、大仏法に巡り合い、宿命転換することをもって、仏法の厳たる功力を証明するためだ。
ゆえに、打開できない宿命も、苦悩も絶対にない。この最極の真実に目覚め、わが使命を自覚し、自ら勇んで戦いを起こす時、生命は大歓喜に包まれ、悠々と苦悩に打ち勝つ大境涯へ、自身を高めていけるのだ。
求道あるところに、歓喜はある。
祈りあるところに、歓喜はある。
実践あるところに、歓喜はある。
信仰とは、あふれる歓喜の源泉なのだ。