小説「新・人間革命」大道11 2015年 2月23日

道畑ハナノから始まった小豆島の広宣流布は、着実に伸展していった。
山本伸一の二度目の訪問となる、この一九七八年(昭和五十三年)七月、小豆島の組織は、一本部五支部へと
大きな発展を遂げていたのである。
伸一は、六七年(同四十二年)九月、小豆島を初訪問した折、道畑と会い、島の広宣流布が彼女から始まったことを聞くと、言った。
「ここに会館ができれば、小豆島の広宣流布は、大きく進みます。それにともない、島は、ますます栄えていくでしょう。
その時に、最初の一人である、あなたの存在は燦然と光り輝いていきます。ここに会館が完成したら、必ず、いつかまた、小豆島にまいります。あなたにお会いしに来ます」
そして、この日の再会となったのである。
道畑は、「先生……。嬉しいです」と言いながら、伸一の手を、ギュッとつかんだ。目から涙があふれて止まらなかった。
「私も嬉しいです。おばあちゃんの十倍嬉しいです」
「まあ、先生!」
「私は、おばあちゃんが大好きですよ。おふくろのように思えるんです。お幾つになら
したか」
「七十八歳になりました。長生きして本当によかった……」
「まだ、お若いではないですか。いつまでも、いつまでも、いつまでも、お元気でいて
ください。そして、またお会いしましょう」
「はい! これからも、二度、三度と、先生とお会いできることを楽しみに、生き抜いてまいります」
草創の功労者が、明るく、はつらつと頑張る姿を見れば、後輩は信心への確信をもつ。
ゆえに草創期を築いた方々には、生涯、信心を貫いていく責任がある。
また、後輩は、そうした諸先輩を尊敬し、心を配り、最高に遇していかなければならない。
そこに、世代から世代へと、確かなる広宣流布の流れがつくられていく。