小説「新・人間革命」大道 12 2015年2月24日

小豆島会館の開館十周年を記念する勤行会では、四国の方面幹部、婦人部の全
国幹部、副会長らが次々とあいさつに立った。
登壇する幹部の話のたびに、朗らかな笑いが弾けた。
たとえば、婦人部の幹部が、「私は、初めての小豆島訪問です。
『人よし、自然よし』で、永住したい気持ちです」と語ると、会場中が笑みの花と大喝采に包まれる。皆、嬉しくて嬉しくて仕方がないのである。
部屋の壁には、この年の春に山本伸一が詠んだ、「忘れまじ 小豆の島の 友どちを 祈りに祈らむ 春の笑顔と」の歌が大書されていた。まさに「笑顔」の勤行会となった。
このあと、小豆島本部の婦人部、男子部、女子部の合唱団総勢四十三人が登場。
四国の歌「我等の天地」の合唱が披露された。
歌は、前々日に、四国研修道場で行われた野外研修の折に発表され、勤行会当日の「聖教新聞」四国版に、歌詞と楽譜が掲載されたばかりであった。
それを見て、「この歌の合唱で、小豆島の心意気を示そう」ということになった。しかし、満足に練習する時間はなかった。
   
 ♪地涌の我等が 乱舞せる……
  
熱唱であったが、しばしばリズムが狂い、音程も外れた。
でも、そんなことには頓着せず、堂々と胸を張り、高らかに歌い上げた。
伸一は、大拍手を送りながら言った。
「すごい! 『譜面なんか何するものぞ。わが道を征く』だね。いいぞ!
少し音程が外れたっていいんです。発表されたばかりの歌なんだから。
それを上手に歌えというのは、昨日、入会したばかりの人に、完璧な勤行を求めるようなものですよ」
伸一の言葉に、笑いの大波が広がった。
歓喜からほとばしる笑いは前進の活力だ。創価スクラムには太陽の明るさがある。
続いて、伸一の提案で、小豆島の発展への誓いを込め、皆で万歳を三唱した。
 「万歳! 万歳! 万歳!」
 歓喜の大音声が轟き渡った。