【第23回】 師弟に勝るものはなし!(下) (2014.3.1付)
どこまでも「共に」進もう!
アメリカの教育哲学者 デューイ博士
私たちには、先人から受け継いだ遺産を、よりよく、大きくする責任がある。そして、後に続く人たちが、豊かに分かち合えるようにするのだ
──万物が躍動する春3月が到来しました。未来部員も元気に新たなステージヘ進んでいきます。
名誉会長 卒業生の皆さん、晴れの門出、おめでとう!
みんな、よく頑張ったね。一緒に、自分自身の万歳をして、希望あふれる未来を見つめていこう!
進級する皆さんも、新しい決意に燃えて、模範の先輩と光っていってください。
日蓮大聖人は、苦難にも負けず心も新たに前進を開始した門下の知らせを聞いて、「春の初めの喜びは、花のように開き、月のように満ちている」(御書1575㌻、趣意)と讃えてくださっています。年の初めに送られたお手紙ですが、新出発をする門下への励ましに満ちています。
受験で思うような結果が出ず、悔しい思いをしている友もいるでしょう。でも、一生懸命に学んだという“努力の歴史”は誇り高く残ります。“挑戦王の宝冠”として、わが生命に輝きます。
頑張ったけれども、思うようにいかないことがある。それでも、くよくよしないで、次の戦いを目指して挑んでいく。その人が真の勝利者です。最後に勝つのです。
悲しいことや苦しいことを経て、人間は鍛えられる。偉大になれる。いつまでも、落ち込んでいてはいけない。
さあ、胸を張って、明るく前向きに、勇気の一歩を踏みだそう!
──前回の「未来対話」では、「師弟」について語っていただきました。全国のメンバーから感想や決意が続々と寄せられています。
「今まで、『師弟』は難しいものだと思っていました。しかし、『師弟』は身近にあるのだと感じました」
「池田先生は、私たちのことを『愛弟子』とおっしゃってくださ
っています。私は、ここまで信じてくださるのかと思い、とても感動しました」
「つらい時でも、池田先生を思えば挑戦できるのは、先生と自分の間に『師弟の絆』が存在するからなのだと気づきました。何もこわくはありません。どんな困難にも打ち勝ってみせます」
名誉会長 うれしい。本当にうれしい。
私も毎日、皆さんと心で語り合っています。皆さんのことを思い浮かべて題目を送っています。
未来部は私の命だもの。離れていても、会わなくても、生命と生命は、強く固く、結ばれています。
法華経には、「在在諸仏土 常与師倶生(在在《いたるところ》の諸仏の土に常に師と倶に生ず)」──至るところの諸仏の国土に常に師と共に生まれる──と説かれています。広宣流布の誓願で結ばれた師弟は、永遠に一緒に生き抜き、一緒に戦い抜いていくと約束されているのです。
「成長」であり、それ自体が幸福であると考えました。教師と生徒が共に学び、共に成長していく──教育の根幹も「師弟」なのです。
私も、デューイ博士の人生と思想をめぐって、その精神を継承するヒックマン博士、ガリソン博士と語り合いました。お二人との対話でも、「師弟」が大きなテーマとなりました。
──お二人ともデューイ協会の会長を務められた大学者ですね。
ヒックマン博士も、「いかなる危機に直面してもなお貫き通し、さらに強まり成長するような“良き師弟関係”を呼び起こし、称揚する(褒めたたえる)ことがとりわけ重要」と語られています。
名誉会長 師弟は、人間生命の真髄の道です。
仏法において、師匠と弟子は、一対一の関係でありながら、別々の存在ではない。上も下もない。それを「不二」といいます。
「師弟」は「不二」なのです。
ゆえに、どこまでも「共に」進むのです。
私の恩師・戸田先生も、青年の意見を最大に尊重してくださった。こまかなことにも耳を傾け、青年の真剣な求道心を、心から愛してくださいました。
私は、折あるごとに、「大作は、どう思う?」「大作の考えを聞かせてくれ」と、意見を求められました。
“一青年にすぎない私のことを、ここまで信じてくださるのか!”──感動の日々でした。ありがたい師匠でした。
デューイ博士は記しています。
「私たちの責任は、受け継いだ遺産としての価値を守り、伝え、改善し、大きくすることである。そして、あとに続く人たちが、私たちが受け継いだときよりも、さらに確かなかたちで、その価値を受け継ぎ、さらに多くの人びとのあいだで、豊かに分かち合えるようにすることである」
これは、博士の墓標にも刻まれている言葉です。今回は、後継の愛弟子である皆さんに、このデューイ博士の言葉を贈ります。
少し難しい表現になりますが、「師匠は原理」であり、「弟子は応用」です。師匠に学んだことを、弟子が自身の行動で、何倍にも、何十倍にも広げていく。これが、勝負です。
私は青春時代、戸田先生から教わったことを生命に刻みつけました。冗談で言われたようなことでも、絶対にいいかげんにしませんでした。
そして、同志を励まし、日本中、世界中に、恩師の偉大な構想を、具体的に一つ一つ、実現し抜いてきました。
──師弟といえば、デューイ博士にも師匠がいたそうですね。
デューイは、15歳で当時の高等学校を卒業。大学、さらに大学院へ進学し、哲学を専攻しました。この時、モリス教授という師匠と出会います。
名誉会長 モリス教授は、博学の人でした。しかも、それを鼻にかけることなど決してなかった。授業では誠実に、情感を込めて、分かりやすく教えてくれた。
デューイ青年は、モリス教授の純粋さ、一生懸命さ、常に快活な人柄に魅了され、いっそう勉学に励んでいった。そして、教授に教わった哲学をもとに、さらに偉大な思想を形成していったのです。
デューイ博士は、自分の子どもに「モリス」という名を付けました。恩師をどれだけ敬愛していたか、伝わってくるエピソードです。
みんなは「従藍而青《じゅうらんにしょう》」(藍より青し)という言葉を聞いたことがあるかな。大聖人も御書で用いられています。
青色は、藍という植物の色素から染められますが、もとの藍よりもさらに鮮やかな青になります。
「弟子は、師匠以上に立派に成長していくべきである」という意味です。
私にとっては、未来部の皆さんが「従藍而青」の直弟子です。
ゆえに、君たちよ!
偉くなれ! 断じて偉くなれ!
強くなれ! 徹して強くなれ!
そして羽ばたけ、広い世界へ!
「師弟不二」なるがゆえに、君も必ずなれる。あなたも絶対にできる。
創価の師弟に、不可能などありません。わが未来部に、あきらめなどない。断じて、勝利できる!
私は、永遠に、こう叫び抜いていきます。
──「まだ師弟について深く理解できたわけではありませんが、くじけそうな時、池田先生の本を読み、題目をあげると、“今できることをしよう!”と思えます。これが今の私の『師弟の道』だと思います」と、素直な決意を語ってくれたメンバーもいます。
名誉会長 ありがとう。その心こそ、私の喜びであり、大いなる希望です。
みんなにとって「師弟」の行動は、一日一日の生活の中にたくさんあるんです。
困難を恐れずに学ぶ。
父母を大切にする。
一生涯の友情を築いていく。
読書に挑戦していく。
語学を習得していく。
クラブ活動などで心と体を鍛え抜く。
いじめを絶対に許さない。
題目根本で、一つ一つ、目の前の課題に立ち向かっていくことが、自身の勝利となる。
それが、やがて、民衆の幸福を開く力となり、世界平和を確立する智慧の源泉ともなるのです。
──「私たち師弟が“題目で固く強く結ばれている”ということは、どういうことでしょうか」という質問がありました。
名誉会長 今、若田光一さんが船長として乗り組んでいる国際宇宙ステーションが、はるかな天空の軌道を回っています。
遠く離れていても、地球の基地とのやりとりは、電波を使って見事に行われます。発信機が出す強力な電波を、受信機で受けます。受ける側がスイッチを切らなければ、確実に届きます。目には見えないけれど、間違いなくつなかっているのです。
心と心、生命と生命も同じです。私は、未来部のみんなの大成長を信じ、大勝利を信じて、毎日毎日、題目を送り続けています。
御書には「題目を唱える声は、十方世界(=宇宙)で届かぬところはない」(808㌻、通解)と説かれるように、最も強い生命の波動です。
だから、みんなも、自分自身の大成長と大勝利を確信して、題目を唱えてください。
師弟一体の祈りです。間違いなく、つながります。
たとえ今、自信が持てなくても何も心配する必要はありません。努力の人には、必ず「自信の太陽」が昇ります。
大聖人は、「師匠」と「弟子」の心が一致すれば、何事でも成し遂げることができるという方程式を示してくださっています。
戸田先生は、私を信じてくださいました。
私も、「戸田先生の弟子なんだから、不可能はない!」と、自らに言い聞かせ、戦ってきました。
当時は「不治の病」といわれていた結核も乗り越えることができた。どんな迫害にも屈することなく、あらゆる場所で、戸田先生の弟子として、厳然と勝利の歴史を残しました。
もちろん、若い時代は、常に心が揺れ動きます。自分のことがイヤになる時や、可能性を信じられない時だって、あるでしょう。それでもいい。
私が、その分、いや、それ以上に、みんなのことを信じている。見守っている。祈り抜いている。
元気に、明るく堂々と、前進してもらいたい。
私たちは、いつでも、どこでも、心で対話ができる。一緒に悩んで、一緒に前を向いて、一緒に勝ち進んでいこう!
みんなには、断じて朗らかな大勝利の青春を進んでほしい。喜びあふれる幸福の人生を飾ってほしい。これが師匠の心です。
みんなが歩んだ一歩が、そのまま、黄金の師弟の道になる。
さあ、出発しよう!
共に歩む勝利の道へ!