小説「新・人間革命」大道 60 2015年4月21日

山本伸一は、北陸のメンバーに視線を注ぎながら語っていった。
「三番は『同心の北陸』としました。
団結こそが、信心の要諦であり、広宣流布推進の大原則だからです。
もしも、幹部同士が仲が悪く、心を結び合うことができないとしたならば、既に魔に翻弄されているのだとの認識に立たねばならない。
なぜならば、それは、破和合僧、すなわち広宣流布の団結を破壊し、学会の組織を攪乱する萌芽となっていくからです。
そして、団結をしていくうえでも、必要なのは勇気なんです。
勇気がないと、苦手だと思う人に、自分の考えを率直にぶつけたり、直接、連絡を取り合ったりすることを避けてしまう。
そこから誤解も生じていきます。
「どうも、自分との関係がすっきりいっていないな」などと感じる人がいたならば、役職や立場の上下に関係なく、勇気をもって、自ら連絡を取り、対話していくことです。
なぜ学会は、広宣流布の仏意仏勅の団体として、その使命を果たし抜いてくることができたのか。
それは、広宣流布を推進しようという同心、すなわち団結があったからです。
また、広宣流布のために団結しようとしていくなかに、自身の人間革命があり、境涯革命があるんです」
人間は、ともすれば自分の考えや感情に執着するあまり、「小我」の世界に閉じこもってしまう。
広宣流布の大使命を自覚し、そのために同志と団結していく時、「小我」の殻は破られ、「大我」が開かれる。」その時、自己の個性もまた、大きく輝かせることができる。
広宣流布のために、同志と心を合わせ、協調することは、小さな自分を脱皮し、大境涯を築いていく、跳躍台となるのだ。
人びとの考えや意見に、違いがあるのは当然である。
そのうえで、より根源に、根本目的に立ち返って一致点を見いだし、同心をめざすなかで、相互理解をもたらし、団結を図っていくこともできるのである。
そして、そこに、平和社会実現への原理もある。