小説「新・人間革命」勝利島2 2015年 7月22日

山本伸一は、世界平和の確かな潮流をつくるために行動することも、今世の自身の使命であると、強く自覚していた。
それゆえに、各国の識者、指導者との語らいを重ね続けた。
九月の中国訪問のあとも、二十七日には、北京大学の周培源学長をはじめとする中国科学院代表団一行と、二十八日には、イギリスのマイケル・ウィルフォード駐日大使夫妻と会談。
その翌日の二十九日には、西ドイツのボン大学名誉教授のゲルハルト・オルショビー博士と語り合っている。
また、伸一は、創価大学をはじめ、創価教育各校の創立者として、その諸行事にも、できる限り出席した。
九月三十日に行われた創価大学の体育祭では、開会式で「英知は太陽のごとく、身体は鉄のごとく」と激励。閉会式では「英知を磨き人格形成を」と訴えた。
また、中国からの留学生と卓球に興じた。
さらに懇談し、「人の偉さは謙虚な人柄に表れてくる」など、人間としての生き方について語り、励ました。
そして、翌日の十月一日には、東京創価小学校の第一回運動会に出席している。
日々、さまざまな行事が、びっしりと詰まっていた。
しかし、そのなかでなお、伸一は首脳幹部らに尋ねるのであ
る。
「ほかに、今日は、会合はないのかい。
また、私がお会いして激励すべき人がいたら、どんどん言うように!」
伸一の行動は、とどまるところを知らなかった。「次は?」「次は?」と、間断なく尋ねては、可能な限り、全力で、激励、指導にあたっていくのである。
十月五日の全国県長会議で、彼は語った。
「人間として生まれて、最高の幸せとはなにか──人に法を説けることです。
多くの人に仏法を語れる人こそが、果報者なんです。
それに勝る幸福の実感はありません。
だから私は、その歓喜を胸に、感謝の心で、命ある限り戦い続けます。
どうか皆さんも、その自信と確信をもっていただきたい」