小説「新・人間革命」 勝利島 41 2015年9月7日

離島本部の第一回代表者会議では、奄美大島、喜界島、屋久島に「地域長」が設けられたことが発表され、その人事も紹介された。
各島の地域長は、その島ならではの特色を生かしながら、それぞれの島の発展、広宣流布の責任を担う中心者である。
山本伸一は、代表者会議を終えて、帰途に就くメンバーの見送りにも立った。
バスに乗り込む一人ひとりの魂を揺さぶる思いで、声をかけ、励ましていった。
「島のことは、皆さんにお願いするしかありません。皆さんが動いた分だけ、語り合った分だけ、広宣流布の前進があります」
「皆さんのご健康を、ご活躍を、島の繁栄を、懸命に祈ります。朝な夕な、題目を送り続けます。私たちの心は、いつも一緒です。じっと、皆さんを見守っていきます」 
「島の人びとは、すべて自分が守るのだという思いで、仲良く、常識豊かに、大きな心で進んでいってください。信頼の大樹となって、全島民を包んでいただきたいんです」
広布の一切は、一人立つことから始まる。この日、離島の同志たちは、広布第二章の新しい扉を開いたのである。
参加者を見送った伸一は、三津島誠司ら離島本部の幹部に語った。
「各島々の広布の基盤をつくるまでは、離島本部の幹部は、徹底して離島を回って激励に力を注ごう。私も、そうします。あらゆる機会に離島の方々を励ましていきます」
その言葉通り、山本伸一は、香港から帰国した翌々日の二月二日には沖縄を訪問。石垣島宮古島へも足を運んだのである。
どちらの島でも、一緒に記念のカメラに納まった。地域の友人も参加しての「八重山祭」「宮古伝統文化祭」に出席し、共に踊りもした。「先祖代々追善法要」も、会館の起工式も行った。西表島の中学校、伊良部島の小学校への図書贈呈も行い、皆と懇談を重ねた。
島民と融合した数々の行事は、まさに「仏法即社会」の在り方を示すモデルケースとなった。一つの範を示せば流れは開かれる。