小説「新・人間革命」 勝利島 56 2015年9月25日

山本伸一は、「龍郷支部歌」をもう一度聴いた。
それから、「では、今度は、ぼくの作った歌を聴いてよ」と言って、東京、関西などの方面歌のテープをかけた。
その音楽の流れるなか、伸一は奄美の同志に贈るために、激励の色紙を書いた。
 
「友よ起て 此の世の歴史と 龍郷城」
「勝ちいくさ さらに上潮 たのむらん
 因果の理法 強く信じて」
 
伸一は、最後に、「皆さんに、くれぐれもよろしく!」と言って参加者を送った。
この九州研修道場滞在中、伸一は、離島本部の幹部から相談を受けた。
「可能ならば、学会本部で離島の代表者会議を行いたいと思っております。
実は、各島々を回らせていただいて感じましたのは、島と島とのつながりが、あまりないということでした。
一部の方面では、各島の代表が集って懇談会などを行ってきたところもありますが、全体的に見ますと、孤立したなかで必死に信心に励み、健闘しているというのが実情です。
したがって、全国の代表が一堂に会し、それぞれの島の同志が〝広布のモデル〟をめざして、奮闘している模様を語り合えれば、皆が元気になり、学会活動の勢いも出るのではないかと思います」
一人立つことから、広宣流布の闘争は始まる。
そして、一人立つ勇者の連帯がつくられる時、幸と希望の大潮流が広がる。
伸一は、即座に言った。
「大賛成です。各島々の同志は、孤軍奮闘している。
それだけに、ほかの島の人たちも懸命に戦っている様子を知れば、勇気が湧くでしょう。
しかし、どうせやるなら、極めて限られた代表が集う会議でなく、全国から大勢の人が参加できる総会にしてはどうだろうか。私が応援します。
いつにするかは、よく検討し、一番良い季節を考えてください」
早速、離島本部で協議し、総会の開催は、十月七日の土曜日と決まったのである。