小説「新・人間革命」 常楽11 2016年 1月14日
そのなかで、山本伸一との会談の内容についても触れていた。
聞かれては、聞き返し、結局、意見はほぼ一致であった」
そして、伸一が、特に「アメリカと中国の関係」を憂慮していたと記している。
二人の語らいに関する記述は、こう締めくくられていた。
「(会長は)心から仏教を信じて、尽きざる生命の本流へ立ち戻り、平穏この上もない悟りの境地へ到達するよう熱心にすすめてくれた。
私は信心を誓い、彼がその内、インドへも行くというので、いずれまた、サルナートでこの続きをと、いささか意味深にうなずき合った。
見送りにも、会員たちが勢揃いして、出迎え以上に盛んな拍手、ただもう感激の至りだった」
この会談では、平和、経済、二十一世紀に向けた新しい国際秩序への展望、各国指導者との交友のエピソードなどを、時のたつのも忘れて語り合った。
一回一回の対話を大切にして、誠実な語らいを重ね、互いの心が耕されていってこそ、友情という果実は実る。
その折、ガルブレイス博士は、多忙を極めるなか、わざわざ駆けつけて、講評者(コメンテーター)を務めてくれたのである。
「私たちが希望し、願望している『平和実現への道』を示した講演」であり、仏教の思想に「平和」を展望する魂を感じる――と。