小説「新・人間革命」 力走8 2016年4月1日

群馬センターには、練習のために合唱団のメンバーが集っていた。
合唱団の関係者が、県歌「広布の鐘」の録音テープを聴いて譜面に起こし、直ちに練習が開始された。
さらにその後、山本伸一から群馬センターに伝言が届いた。
「歌は時代を変えていく。群馬の同志が、この歌を声高らかに歌いながら、大きく成長して、新しい時代を築かれることを楽しみにしています」
翌二十二日、群馬では代表幹部会を開催。歓喜の大合唱が場内を圧した。
この群馬の歌「広布の鐘」をもって、伸一は、関東のすべての県に、歌を作詞し、贈ったことになる。
二十三日には、伸一が出席して、東京・信濃町創価文化会館内の広宣会館で、第一回となる関東支部長会が晴れやかに行われた。
開会に先立って、各県のメンバーが県の歌を合唱。歌合戦の様相を呈した。
堂々と胸を張って熱唱する支部長。体を左右に揺らし、リズムに乗って軽やかに歌う支部婦人部長。皆が、二十一世紀の峰をめざす決意を託しての合唱であった。
この日、伸一は、支部長・婦人部長が、多くの仏子を預かる支部の中心者として広宣流布の重責を担い、日々、奮闘してくれていることに心から感謝し、その功労を讃えた。
「それぞれ、仕事や家庭のことなど、悩みと格闘しながら、同志のため、法のために、献身されている。時には大変だな、苦しいなと思うこともあるでしょう。
皆さんのご苦労はよくわかっているつもりです。
私も戸田先生の事業を軌道に乗せようと奔走するなかで、男子部の役職を兼任しながら、地区の責任者や支部幹事、支部長代理を務めた経験があります。
会合の時間を捻出することさえ大変な闘いでした。
しかし、それが、信心の基礎を築き、人生の基盤となり、仏法のリーダーとしての力を養い、無量の福運を積んだと、強く確信しております。苦労こそが財産なんです」