小説「新・人間革命」 力走15 2016年4月9日

山本伸一は、十和田光一に訴えた。
「もちろん、それぞれが、普段から病気にかからないように心がけ、規則正しい生活をし、食生活にも気を配り、健康管理に努めていくことは当然です。
しかし、遺伝的な要因などによる病気もある。
大事なことは、病気に負けないことです。
たとえば、病で歩行も困難になってしまったとする。
だから不幸かというと、決して、そうではありません。
歩けなくとも、幸せを満喫して、はつらつと生きている学会員を、私はたくさん知っています。
人生には、病に襲われることもあれば、失業や倒産など、多くの苦悩があるが、それ自体が人を不幸にするのではない。
その時に、もう、これで自分の人生は終わりだなどと思い、希望をなくし、無気力になったり、自暴自棄になったりすることによって、自らを不幸にしてしまうんです。
つまり、病気などに負けるというのは、その現象に紛動されて、心が敗れてしまうことをいうんです。
したがって、苦境を勝ち越えていくには、強い心で、こんなことで負けるものか!必ず乗り越え、人生の勝利を飾ってみせるぞ!という、師子のごとき一念で、強盛に祈り抜いていくことです。
日蓮大聖人は、『南無妙法蓮華経は師子吼の如し・いかなる病さは(障)りをなすべきや』(御書一一二四ページ)と仰せではないですか。
また、苦難、悩みがあるからこそ、それを乗り越えることによって、仏法の功力の偉大さを証明することができる。
闘病体験もまた、広宣流布を進めていくうえの力となっていきます。人生のすべてを生かしていけるのが仏法なんです。
だから、病の診断を受けたら、これでまた一つ、信心の体験が積める! みんなに仏法の力を示す財産が増える!と考えていくことです。
くよくよするのではなく、堂々と勇み立って、病に対していくんです。
──栗山さんに、そう伝えてください」