小説「新・人間革命」 力走25 2016年4月22日

日蓮大聖人は、「忘れても法華経を持つ者をば互に毀るべからざるか、其故は法華経を持つ者は必ず皆仏なり仏を毀りては罪を得るなり」(御書一三八二ページ)と仰せである。
さらに、同志の怨嫉は、破和合僧となり、仏意仏勅の団体である創価学会の組織に亀裂を生じさせ、広宣流布を内部から破壊する魔の働きとなる。
山本伸一は、愛する同志を、決して不幸になどさせたくなかった。
ゆえに、厳しく怨嫉を戒めておきたかったのである。
「学会のリーダーは、人格、見識、指導力等々も優れ、誰からも尊敬、信頼される人になるべきであり、皆、そのために努力するのは当然です。
しかし、互いに凡夫であり、人間革命途上であるがゆえに、丁寧さに欠けるものの言い方をする人や、配慮不足の幹部もいるでしょう。
いやな思いをさせられることもあるかもしれない。
そうであっても、恨んだり、憎んだりするならば、怨嫉になってしまう。
どう見ても、これはおかしいと思うことがあれば、率直に意見を言うべきですし、最高幹部にも相談してください。
もし、幹部に不正等の問題があれば、学会として厳格に対処していきます。
また、リーダーの短所が災いして、皆が団結できず、活動が停滞しているような場合には、その事態を打開するために、自分に何ができるのかを考えていくんです。
他人事のように思ったり、リーダーを批判したりするのではなく、応援していくんです。
それが『己心の内』に法を求める仏法者の生き方です。
末法という濁世にあって、未完成な人間同士が広宣流布を進めていくんですから、意見の対立による感情のぶつかり合いもあるでしょう。
でも、人間の海で荒波に揉まれてこそ、人間革命できる。
人間関係で悩む時こそ、自分を成長させる好機ととらえ、真剣に唱題し、すべてを前進の燃料に変えていってください。
何があっても、滝のごとく清らかな、勢いのある信心を貫いていくんです」