小説「新・人間革命」 力走40 2016年年5月11日

山本伸一は、引き続き午後四時から、高知市内の学会員が営む喫茶店で、女子部の本部長ら二十数人と懇談し、午後六時過ぎからは、高知文化会館の開館一周年記念勤行会に出席した。
翌六日は、土佐清水市にある高知研修道場に向かう予定であったが、彼は、勤行会に出てから出発することにした。
「私は、すべての勤行会に出席します。できれば、全会員の皆さんとお会いしたい」
高知県長の島寺義憲は、涙が出るほど嬉しかった。
しかし、先生は、全力疾走のような激励行を続けている。
むしろ、休んでいただくべきではないかとの思いが、彼の心を苛んだ。
勤行会は午後二時から開始された。
伸一は、経文、御書を拝して、御本尊の無量無辺の功徳力について語った。
末法の御本仏である日蓮大聖人が、一切衆生のために、宇宙、生命の根本法である南無妙法蓮華経曼荼羅に具現されたのが御本尊である。
大聖人は、文永十年(一二七三年)四月、佐渡流罪中に認められた「観心本尊抄」のなかで「一閻浮提第一の本尊此の国に立つ可し」(御書二五四ページ)と宣言されている。
創価学会は、その御本尊への絶対の確信を原動力として、広宣流布を推進してきた。
伸一は、訴えた。
「広大無辺の功力を具えた御本尊に南無しゆく強き信力、行力によって、御本尊に具わった仏力、法力が引き出され、大功徳に浴すことができる。
また、人生の大福運を積んでいくことができるんです。
したがって皆さんは、勇気をもって自行化他にわたる信心を貫き、日々の生活のなかで幾つもの功徳の体験を積んでいただきたい。
それが、さらに御本尊への確信を強くし、信心の歓喜を呼び起こしていきます。
また、その功徳の姿を社会に示していくことによって、広宣流布は一段と加速度を増します」
功徳あふれるところに、歓喜と確信がみなぎり、弘教の波は広がる。