小説「新・人間革命」 力走41 2016年年5月12日

勤行会で、功徳を受けていくことの大切さを語った山本伸一は、最後に呼びかけた。
水の信心団結の高知、さらに功徳の高知として、見事な楽土を築き上げていかれますよう心よりお祈り申し上げ、本日の指導とさせていただきます」
水の信心団結の高知──これは、一九七二年(昭和四十七年)六月二十日、高知での記念撮影会の折に、彼が示した指針であった。
高知県人は、「熱しやすく冷めやすい」といわれる。
それは、短期決戦においては、長所となるが、一生成仏をめざして信心を貫くうえでは、短所になりかねない。
そこで伸一は、一時的に燃え上がり、すぐに消えてしまうような火の信心ではなく、生涯、求道の姿勢を持続し、川の水が流れ続けるような水の信心を貫くことの大切さを語ったのであった。
また、高知県の男性は、「いごっそう」との言葉が示すように、気骨があり、革新的で反権力的な傾向が強い。
一方、女性は、「はちきん」といわれ、きっぷがよく、勝ち気であるといわれる。
つまり、男女共に、容易に自説を曲げない気質があり、それは半面、団結しにくい要素にもなる。
高知広布を推進していくカギは、「いごっそう」も「はちきん」も、皆が力を合わせ、異体同心の信心に徹していくことにある。
ゆえに彼は、団結の高知をめざすように訴えたのだ。
そして、今回、この二つの指針に、功徳の高知を加えたのである。
水の信心を貫き、団結して広宣流布に邁進していくのは、それぞれが功徳の花を咲かせて、幸せを満喫するためである。
皆が、共に功徳を受けようとの思いで信心に励んでいる組織には、喜びがあり、ほのぼのとした人間性の温もりがある。
また、功徳の体験は、金剛不壊の信心を築き上げる骨格となる。
これらの指針は、高知県の永遠の三指針として、同志の心に刻まれていくことになる。