小説「新・人間革命」源流 29 2016年10月5日

懇談会で山本伸一は、マイクを取って、あいさつした。
「本日は、インドの多くの同志とお会いできて本当に嬉しい。
なかには、何日もかかって、遠くから来られた方もいらっしゃる。
ようこそおいでくださいました。
十八年前、初めてインドを訪問した折のことが、昨日のように思われます。その時は、誰一人、メンバーであるインドの方とお会いすることはなかった。
しかし、私は思いました。強く決意しました。
仏教が誕生した意義あるインドに、地涌の菩薩が出現しないわけがない。また、必ず出現させなければならない!
以来、インドの地に、数多の同志が誕生することを、日々、真剣に祈ってまいりました。
そして、今日ここに、広宣流布の使命に生きようとする約四十人の代表が、喜々として集われた。
まさに、大聖人が仰せの『地涌の義』であります。
これほど嬉しいことはありません。
皆さん方は、地涌の同志であり、宿縁深い兄弟であり、姉妹であるとの自覚で、インドの人びとのために、どこまでも仲良く、共に成長していっていただきたい。
今や世界の数多くの国に、創価の友がおります。
国境、民族、文化の壁を超え、心の絆は固く結ばれています。
その世界の同志は、仏教発祥のインドに注目し、貴国の未来に期待を寄せ、心から声援を送っております。
あの雄大にして悠久なるガンジス川の流れも、一滴の水から始まる。
同じように皆さんは、インド広布の大河をつくる、源流の一滴、一滴となる方々です。
洋々たる未来を信じて前進していっていただきたい。
二十年、三十年、五十年後をめざして、広布のガンジスの流れを開いていこうではありませんか!
私も、私なりにインドの平和、発展のために尽くし抜いていくことをお約束申し上げ、スピーチとさせていただきます」
ガンジスの一滴に──それは、インドの同志の誓いとなり、合言葉となっていった。