2016-10-14から1日間の記事一覧

小説「新・人間革命」源流 33 2016年10月10日

バジパイ外相は雄弁家として知られる。ジェスチャーも大きく、部屋中に響き渡る声で、アショーカの政治を、さらに、民衆と共に戦ったマハトマ・ガンジーの精神を語っていった。 山本伸一は、ガンジーが民衆のなかに分け入り、対話を重ねたように、外相も、し…

小説「新・人間革命」源流 32 2016年10月8日

バジパイ外相は、ひときわ確信と情熱のこもった大きな声で言った。 「インドと中国は、平和五原則を守れば、問題はなんでも解決できるはずです」 平和五原則は一九五四年(昭和二十九年)に、中国の周恩来総理とインドのネルー首相との共同声明に示された、…

小説「新・人間革命」源流 31 2016年10月7日

ニューデリーは青空に包まれ、街路の菩提樹の緑が陽光に照り映えていた。 二月八日の午前、山本伸一は、インド外務省に、アタル・ビハーリー・バジパイ外相を表敬訪問した。 外相は、今回、訪印団の招聘元となったICCR(インド文化関係評議会)の会長で…

小説「新・人間革命」源流 30 2016年10月6日

ガンジス川は、インドで「ガンガー」と呼ばれる。ヒマラヤ山脈のガンゴトリ山にある氷河などに源を発し、インド北部を流れ、幾つもの支流に分かれて、ベンガル湾に注いでいる。 その全長は二五一〇キロメートルといわれる。 仏典にある、六万恒河沙の「恒河…

小説「新・人間革命」源流 29 2016年10月5日

懇談会で山本伸一は、マイクを取って、あいさつした。 「本日は、インドの多くの同志とお会いできて本当に嬉しい。 なかには、何日もかかって、遠くから来られた方もいらっしゃる。 ようこそおいでくださいました。 十八年前、初めてインドを訪問した折のこ…

小説「新・人間革命」源流 28 2016年10月4日

山本伸一の妻の峯子は、各テーブルを回って女性たちに声をかけていたが、席に戻ると伸一に語った。 「インドには、たくさんの人材が誕生していて、未来が楽しみですね」 「そうだね。私は、仏教発祥の地であるこのインドにこそ、世界模範のSGIを創ってい…

小説「新・人間革命」源流 27 2016年10月3日

山本伸一は、同じテーブルに着いたメンバーや、あいさつに訪れる人たちと語らい、時に相談にものり、激励を重ねた。 自分は地域の仏法のリーダーだが、信仰体験も指導力も乏しく、指導に際して自信がもてずに困っているという質問もあった。 「高みから人を…