小説「新・人間革命」源流 30 2016年10月6日
その全長は二五一〇キロメートルといわれる。
彼は、懇談会であいさつしたあと、インドの同志と記念撮影することにした。
撮影の際、メンバーは、自分たちの中央に大きな椅子を置いた。伸一のために用意したのである。
それを見ると、彼は言った。
「私は、遠くから集ってこられた方など、皆さんの労苦に賞讃と敬意の意味を込めて、脇に立たせていただきます。皆さんを見守っていきたいんです。
この椅子には、皆さんたちの中心者に座っていただきましょう」
インド広布への決意をとどめ、カメラのシャッターが切られた。
後年、この写真を見ながら、メンバーの一人は語っている。
「苦しい時もありました。辛いことも、悲しいこともありました。
でも、私は、この写真を見詰め、抱きしめて頑張ってきました。
この写真のように、山本先生は、いつも私たちと共にいる、そばに立って、私たちを見守ってくださっている──そう確信することができたからです」
伸一もまた、写真を見ては、インドの同志を思い起こし、題目を送り続けたのである。
直接、会う機会はなくとも、互いの心は通い合う。
唱題によってこそ、魂の絆が織り成され、結ばれていくのだ。