小説「新・人間革命」 大山 十一 2017年1月14日
日蓮大聖人は、皆が等しく仏の生命を具えていることを明かされ、万人に成仏の道、すなわち絶対的幸福境涯の確立の道を示された。
つまり、「生命の尊厳」と「人間の平等」の根幹をなす法理を説かれたのである。
ゆえに、真実の仏法は、人類の平和建設の基をなす普遍の原理となるのだ。
山本伸一は、僧たちの信徒支配の意識に潜む、恐るべき魔性を感じていた。
その学会に、僧たちは登山禁止など、卑劣な仕打ちを重ねた。
だが、それでもなお、戦後、学会は広宣流布の実現のためにと、宗門を外護して、赤誠を尽くしてきた。
日蓮大聖人の末弟を名乗る僧たちが、宗祖の御遺命通りに死身弘法の実践を重ねてきた学会を迫害する。
およそ考えがたい事態が、創価教育学会の時代から続いてきたのだ。
しかし、それも仏法の眼を開けば、すべては明らかである。
大聖人は、誰が仏法を破壊していくかに言及されている。
仏法を誹謗する外道や悪人ではなく、仏弟子が仏法を破る働きをなすというのだ。
それは、経文に「悪鬼入其身」とあるように、第六天の魔王が僧の身に入って、人びとを攪乱するゆえである。
僧の姿をした者が、大聖人の御精神を踏みにじって、広宣流布を妨げるのだ。
戸田城聖の時代にも、学会は僧たちの理不尽な圧迫に苦しめられた。
伸一は、かつて戸田が厳しく語っていたことを思い起こしていた。