小説「新・人間革命」雌伏 二十六 2017年4月24日

若い力が育てば、未来は希望に光り輝く。
九月の創価大学の訪問で山本伸一は、試合を控えたラグビー部のメンバーや、野球部、卓球部の代表とも記念のカメラに納まった。
十月には、創価大学の体育大会に臨み、閉会式であいさつした。
社会にあって、あらゆることに対応していくために、学生時代に基本を徹して身につけていくよう、力を込めて訴えたのである。
人生の価値創造のためには、崇高な使命を自覚することが大切である。
そして、その使命を果たしていくには、基本をしっかりと修得していくことが不可欠であるからだ。
さらに、東京創価小学校の運動会や、いもほり大会にも参加した。
創価学園の寮を訪ね、寮生、下宿生との懇談も行った。
ここでは、一人ひとりが「光る存在」になってほしいと語った。
「光る存在」とは、人びとを励まし、希望、勇気を与える人のことである。
また、十一月の二日には、創価大学の「創大祭」に、三日には、創価大学の卒業生の集いである「創友会」の総会に出席した。
伸一には、創価大学創価学園の出身者は、民衆の幸福、世界の平和の実現のために、必ず二十一世紀の大空に羽ばたいてくれるにちがいないとの大きな期待と強い確信があった。
そのメンバーが、自らを磨き鍛え、大成長している姿を見ると、元気が出た。勇気が湧いた。
「創友会」総会に集った一人が、声を弾ませて報告した。
「先生。私たちは、確認し合いました。
『もう創立者に決意を述べている時代は終わった。
これからは、実際に、こうしました。こうなりましたと、結果をもって集う実証の時代である。
それが、弟子が立つということである』と」
伸一の顔に笑みが浮かんだ。
「そうか。嬉しいね。みんなが創立者の自覚で道を開いていくんだ。
それが、わが創価教育の栄えある伝統なんだから」