小説「新・人間革命」 雌伏 三十九 2017年5月10日
それは、太陽のような輝きに満ちていた。
さわやかな希望の笑顔があった。清らかな生命の光彩があった。誇らかな青春の躍動があった。
鼓笛隊総会は、メンバーの練習の成果をいかんなく発揮する華麗なる祭典となった。
第一部「世界の広場」では、フランスのロワールの古城やシャンゼリゼ通り、中国の天安門広場、アメリカ・ニューヨークの摩天楼、パリの凱旋門と、次々と背景が変わる舞台で、ドラムマーチやドリル演奏が、華やかに、力強く繰り広げられていく。
愛らしいポンポン隊の演技には、微笑みが広がった。
水平線の彼方
大いなる海原のうねりにも似た民衆……
友情出演した壮年部「地涌合唱団」、婦人部「白ゆり合唱団」、男子部「しなの合唱団」、女子部「富士合唱団」が、荘重な調べに合わせて、見事に歌い上げていく。
彼はこの詩で、本来、最も尊ぶべき民衆の歴史は、常に権力者によって蹂躙され、受難と窮乏の涙で綴られてきたことを訴え、沈黙と諦観と倦怠に決別し、民衆が主役の歴史を創ることを呼びかけたのだ。
僕は生涯 君のために奔る
一見 孤立して見えるとしても
僕はいつも君のために
ただ君のために挑戦しゆくことを
唯一の 誇りある使命としたい