小説「新・人間革命」 雄飛 四十八   2017年8月10日

シカゴ文化祭に引き続いて、記念総会が行われた。
この席でアメリカの理事長が、「明年、シカゴで世界平和文化祭を開催してはどうか」との、山本伸一の提案を発表し、参加者に諮ると、大きな賛同の拍手が広がった。
総会のあいさつで伸一は、教学の重要性に触れ、どこまでも御書根本に仏道修行に励んでいくべきであることを訴えた。
それぞれが我見に走れば、団結することはできない。
しかし、御書に立ち返れば、心を一つにすることができる。
仏法の法理にこそ、私たちの行動の規範がある。
教学の研鑽を呼びかけた伸一は、シカゴを発つ十三日の朝、代表幹部に「御義口伝」を講義した。
さらに空港の待ち時間にも、幹部らに「開目抄」を講義し、仏法者の在り方を指導した。
率先垂範の行動こそが、リーダーの不可欠な要件である。
ロサンゼルスに到着した伸一は、サンタモニカ市へ向かい、世界文化センターでの勤行会やSGI親善代表者会議に出席。
そして十七日夜、世界四十八カ国・地域の代表一万五千人が集って開催された、第一回SGI総会に出席した。
会場のロサンゼルス市のシュライン公会堂は、アカデミー賞の授賞式などが行われた由緒ある荘厳な建物である。
総会に対して、国連事務総長アメリカの上・下院議員、地元カリフォルニア州をはじめ、ニューヨーク州などの各州知事、ロサンゼルス市やデトロイト市などの各市長、ミネソタ大学学長ら各大学関係者等から、祝福のメッセージが寄せられた。
席上、伸一は、一九五三年(昭和二十八年)七月、恩師・戸田城聖から贈られた
和歌「大鵬の 空をぞかける 姿して 千代の命を くらしてぞあれ」を紹介し、その言葉の通りに全世界を駆け巡り、妙法広布に尽くし抜いていきたいとの決意と真情を披瀝した。
いよいよ、これからだ!──彼の眼は、希望の旭日に輝く新世紀を見すえていた。