小説「新・人間革命」  雄飛 五十二 2017年8月15日

ハワイで山本伸一は、太平洋戦争開戦の舞台となったパール・ハーバー真珠湾)の戦艦アリゾナ記念館を訪れて献花し、平和への深い祈りを捧げた。
また、世界十五カ国・地域の代表も参加して、ワイキキシェル野外公会堂で盛大に開かれた第一回日米親善友好大文化祭にも臨んだ。
さらに彼は、ハワイ方面の各地から集ったリーダーの御書学習会を担当し、「開目抄」を拝して、末法広宣流布に生きる同志の、尊き使命に言及していった。
「東西の対立の壁は、世界を分断し、混迷の度は深まっています。
私どもは、日蓮大聖人の門下として、全人類の救済をめざして、南無妙法蓮華経という最高の大法を流布しながら、今、再び、人間の生命の奥深く覚醒の光を当て、幸福と平和の暁鐘を打ち鳴らしていこうではありませんか!
人びとの心の闇を破らずして世界の平和はありません。生命の尊厳といっても、己心の『仏』を顕在化させ、一人ひとりの人間を輝かせることから始まります。
仏法をもって人びとを蘇生させながら、文化をもって人間と人間を結び、永遠なる人類平和の橋を架けることこそが、私たちの社会的使命です」
ハワイでの八日間にわたる記念行事を終えた伸一は、一月二十日午後二時前(現地時間)、空路、ロサンゼルスへ向かった。
そして、サンタモニカ市の世界文化センターで平和勤行会や、各国・地域の機関紙誌を発行する世界編集長会議、ロサンゼルス市制二百年を記念してシュライン公会堂で開催された日米親善大文化祭などに出席した。
一万五千人が集って行われた、この大文化祭は、世界平和を願う日米の友の友情共演や、開拓者魂を歌い上げたミュージカルなどがあり、大喝采を浴びた。来賓として観賞した著名な女優は、頬を紅潮させて語った。
「何か、熱い人間の魂の輝きを見た思いです。
この団体のめざす理想、精神に触れ、そのすばらしさに感動しました」
文化は心の共鳴をもたらし、人間を結ぶ。