小説「新・人間革命」 雄飛 五十三  2017年8月16日

日本では、一月二十四日、あの山脇友政が、学会への恐喝及び同未遂の容疑で逮捕された。
警視庁は、前年十月に告訴を正式受理し、以来、事情聴取を重ね、慎重に捜査を続けてきた。
そして、遂に容疑が固まり、逮捕に踏み切ったのである。
山脇は、自らを擁護するために一部週刊誌などを使って、さまざまな反学会キャンペーンを展開してきたが、その後の裁判の過程などで、彼がいかに虚偽に満ちた、信憑性のない、悪質な言動を繰り返してきたかが、白日のもとにさらされていくのである。
山脇が逮捕されると、東京地検から伸一に、事情聴取の要請があった。
学会としても、真相を究明し、断じて正邪を明らかにしてほしかった。
彼は、この要請に応じるために、急遽、アメリカ指導を中断し、いったん帰国することになった。
伸一は、アメリカのメンバーに告げた。
「どうしても帰らなければならなくなってしまいました。また戻ってきます。
アメリカは世界広布の要です。
しっかり団結して、世界模範の人間共和の組織をつくってください」
彼は、二十八日に帰国すると、四度にわたって事情聴取に応じた。
また、県長会議メンバーとの懇談会等に臨み、二月十五日、再びアメリカへ戻った。
伸一は、サンタモニカ市の世界文化センターやマリブ研修所で指導、激励を重ね、マイアミ市に移り、十九日にはパナマへ飛んだ。
パナマは七年ぶりの訪問であり、多くのメンバーが誕生していた。
中米七カ国の代表らとの懇談、パナマ国立劇場での日パ親善文化祭への出席、大統領やパナマ市長らとの会談、日本人学校への図書贈呈、パナマ大学の訪問など、彼は、新世紀への布石を打つために、精力的に動きに動いた。
「時間はだれをも待ってはくれない、ということである。
もしそれを建設的に使わないならば、たちまち過ぎ去ってしまうのだ」(注)とは、アメリ公民権運動の指導者キング博士の言葉である。
 
小説『新・人間革命』の引用文献