小説「新・人間革命」 暁鐘 五十四 2017年11月3日

山本伸一は、アメリカには日系人のリーダーも多いことから、日々の活動を推進するうえでの留意点を、語っておこうと思った。
「特に、日系人のリーダーは、日本と同じ感覚に陥らないように注意してほしい。
アメリカは多民族国家であり、人びとの考え方も、価値観も多様です。それだけに、大前提となる基本的な事柄も、一つ一つ確認して、合意を得ていくことが必要になります。
日本社会のように、『言わずもがな』とか、『以心伝心』などという考えでいると、誤解を生じかねません」
さらに、世界広布を進めるうえで、心を合わせていくことの重要性を訴えた。
アメリカに限らず、すべての国のメンバーは、各国の法律や慣習等を順守し、尊重しながら、よき市民として、仲良く、活動を進めていただきたい。『異体同心なれば万事を成じ』(御書一四六三ページ)です。
同志は心を一つにして、世界広布の流れを加速させ、永遠ならしめていかなければならない。
その広宣流布の原動力こそ、創価の師弟です。
したがって、リーダーはメンバーを自分につけるのではなく、皆が師弟の大道を歩めるように指導していくことが肝要です。
それには、リーダー自身が、清新な求道の心で、創価の本流に連なっていくことです。自分中心というのは、清流を離れた水たまりのようなものです。
やがて水は濁り、干上がってしまう。
メンバーを、幸福と平和の大海へと運ぶことはできない。
また、広宣流布の機軸に、歯車を?み合わせていかなければ、回転は止まってしまう。
仮に回っていても、空転です。
ゆえに、どこまでも、創価の本流に連なろう、歯車を?み合わせていこう、呼吸を合わせていこうとすることです。
これが、世界広布に進むリーダーの心でなければならない」
創価学会は、世界宗教として大きく飛躍する時を迎えている。そのための最も大切な要件は、広宣流布の信心に立ち、揺るぎない異体同心の団結を築き上げていくことである。