小説「新・人間革命」 暁鐘 七十九 2017年12月4日

世界平和文化祭には、テレビ局をはじめ、三十余の報道各社が取材に訪れた。
ABC放送は、終了後、直ちにニュース番組で、その模様を放映。
祭典は世界平和と生命の尊厳を志向して開かれたものであり、出演者は素人であると紹介した。
テレビのインタビューに登場したメンバーは、「一人ひとりの人間の可能性を最大に発揮させつつ、世界平和のために貢献しているのが、創価学会の運動です」と胸を張った。
翌二十九日昼、世界平和文化祭の感動は、シカゴの街に広がった。
晴れ渡る空の下、シカゴ市庁舎前の広場で、文化祭の舞台が再演されたのだ。
シカゴ市並びに市民の惜しみない協力に感謝しての催しであった。
市庁舎前には、各界の来賓、招待した老人ホームのお年寄り五百人をはじめ、一万人の市民が詰めかけ、熱演に喝采を送り続けた。
音楽隊の演奏、イタリア・韓国・ハンガリー・インドの民族舞踊、日本の交流団による勇壮な太鼓演奏や梯子乗りの妙技、オーケストラによるテーマ曲「朝日」の演奏、組み体操では人間ロケットが飛び交う。
山本伸一と共に演技を鑑賞していた来賓の一人は、満面に笑みをたたえて語った。
「感動しました。すばらしい文化をありがとうございます!」
喝采と賞讃の交響曲に包まれて、創価学会は、アメリカの天地から二十一世紀への新しい船出を開始したのである。
伸一がシカゴから最後の訪問地ロサンゼルスに到着した七月一日、詩人のクリシュナ・スリニバス博士が事務総長を務める世界芸術文化アカデミーは、伸一に「桂冠詩人」の称号授与を決定した。
後に届いた証書では、彼の詩を、「傑出せる詩作」と評していた。
伸一は、過分な言葉であると思った。
そして、心に誓った。
私は、人間の正義の道を示し、友の心に、勇気を、希望を、生きる力を送ろうと、詩を書いてきた。
この期待に応えるためにも、さらに詩作に力を注ぎ、励ましの光を送ろう!