小説「新・人間革命」 勝ち鬨 十九 2017年12月28日

十三日午後、山本伸一は、四国研修道場の講堂で行われた、高知支部結成二十五周年記念勤行会に出席した。
三年前の高知訪問で伸一は、県内の全同志と会って励ます思いで、足摺岬に近い、高知研修道場にも滞在し、会う人ごとに、指導、激励を重ねた。
その同志が、幾多の試練を乗り越えて、勇躍、集って来たのだ。
記念勤行会で伸一は、「大難なくば法華経の行者にはあらじ」(御書一四四八ページ)等の御文を拝して、広宣流布の道に、大難が競い起こるのは当然であることを確認し、信心の姿勢について訴えたのである。
「苦難の時にこそ、その人の信心の真髄がわかるものです。
臆病の心をさらけ出し、逃げ去り、同志を裏切る人もいる。
また、今こそ、まことの時であると心を定め、敢然と奮い立つ人もいる。
その違いは、日ごろから、どれだけ信心を磨き、鍛えてきたかによって決まる。
一朝一夕で強盛な信心が確立できるわけではありません。
いわば、日々、学会活動に励み、持続していくのは、苦難の時に、勇敢に不動の信心を貫いていくためであるともいえる。
私たちは凡夫であり、民衆の一人にすぎない。
ゆえに、軽視され、迫害にさらされる。
しかし、私たちが弘めているのは、妙法という尊極無上の大法であるがゆえに、必ずや広宣流布していくことができます。
また、『法自ら弘まらず人・法を弘むる故に人法ともに尊し』(同八五六ページ)です。
したがって、最高の大法を流布する弘教の人は、最極の人生を歩むことができる。
広布のため、学会のために、いわれなき中傷を浴び、悔しい思いをしたことは、すべてが永遠の福運となっていきます。
低次元の言動に惑わされることなく、仏法の法理のままに、無上道の人生を生き抜いていこうではありませんか!」
弾けるように大きな拍手が轟く。
徳島も、香川も、愛媛も、高知も立った。四国は反転攻勢の魁となったのである。