小説「新・人間革命」 勝ち鬨 二十四 2018年1月6日

女子部の新愛唱歌「緑のあの道」の完成が「聖教新聞」に報じられ、譜面と歌詞が掲載されたのは、十一月六日であった。
 
 一、春の霞に 舞う桜
   舞いゆく桜に 友も舞う
   花輪の幸に 包まれて
         包まれて
   緑のあの道 歩まんや
 
 二、光きびしき 夏なれど
   やがて紅葉の 秋来る
   霜降る冬も いかにせむ
         いかにせむ
   やがて我らの 春の曲
 
 三、この詩うたえや 父娘の詩
   やがてこの道 乙女らが
   世界の道へと 翼あり
          翼あり
   翼は天使と 飛びゆかん
   いざやあの空 虹かかれ
 
「緑のあの道」の発表から十日後の十一月十六日、「紅の歌」が男子部の新愛唱歌として、「聖教新聞」に掲載された。
二つの歌は、いずれも、新時代にふさわしい、新しい感覚の、心弾む歌となった。
「紅の歌」は、伸一と四国男子部の、師弟不二の魂が紡ぎ出した歌であったが、結果的に、当初、彼らが作った原案は、ほとんど跡をとどめていなかった。
しかし、作詞は「四国男子部有志」となっていた。伸一は、彼らの心意気と努力を讃えたかったのである。
また、四国滞在中に、徳島県の歌「愛する徳島」も誕生している。
この歌も、皆の要請を受けた伸一が、加筆し、推敲を重ねたのである。
 
  世界の友も いざ来れ
  徳島天地の 喜びは
  鳴門の如く うねりあり……