小説「新・人間革命」 勝ち鬨 三十 2018年1月13日

山本伸一は、語るにつれて、ますます言葉に力があふれていった。
日蓮大聖人は、さらに仰せである。
『但生涯本より思い切て候今に飜返ること無く其の上又遺恨無し諸の悪人は又善知識なり』(御書九六二ページ)
御自身の生涯が、いかに迫害の連続であったとしても、それは、もとより覚悟のうえである。
どんな大難に遭おうが、決意が翻ることはないし、誰に対しても恨みもないとの御断言です。
広宣流布の久遠の使命を果たし抜いていくうえで、また、一生成仏を遂げ、崩れざる幸福境涯を確立していくうえで、最も大切なことは何か――。
それは『覚悟の信心』に立つことです。
心を定め、師子の心をもつならば、恐れるものなど何もありません。
そして、その時、自分を苦しめ抜いた、もろもろの悪人も、すべて善知識となっていくんです。覚悟を定め、大難に挑み戦うことによって、自らの信心を磨き鍛え、宿命転換がなされていくからです。
大分の皆さんは、今回の問題で、大変な苦労をされた。でも、それは、次への飛躍を遂げるジャンプ力になっていきます。
私は、もう一回、広布の大闘争を開始します。本当の創価学会を創ります。
皆さんも、私と一緒に戦いましょう!」
「はい!」
力強い、決意のこもった声が響いた。最も辛酸をなめた大分の同志は、伸一と共に、決然と立ち上がったのだ。
懇談会では、「男子部員で、この宗門事件によって学会を離れていった人は、ほとんどおりません」との、嬉しい報告もあった。
伸一は、身を乗り出すようにして言った。
「そうか! すごいことじゃないですか。青年が盤石ならば、大分の未来は盤石だよ。
青年たちに、前進の励みになるような、何か指針を残したいな」
大分では、明後日の十日に、県の青年部幹部会を予定していた。