小説「新・人間革命」 誓願 七 2018年4月2日
"当選など不可能である"との、大方の予想を覆し、「"まさか"が実現」と新聞で報じられた、劇的な大勝利であった。
大阪事件である。新しい民衆勢力の台頭を恐れる横暴な権力の弾圧であった。同志は怒りに震えた。
公会堂で開かれた。場外も多くの人で埋まった。途中から激しい豪雨となり、稲妻が天を切り裂いた。
外の人たちは、雨に打たれながら、特設されたスピーカーから流れる声に耳をそばだてた。
幼子を背負った婦人もいたが、誰も帰ろうとはしなかった。
"無実の山本室長を、なぜ逮捕したのか! 民衆の幸せを願って走り抜き、私たちに勇気の灯をともしてくれた室長を迫害する、権力の魔性を、私たちは断じて許さない!"
同志の心に、正義の炎は、赤々と燃え上がった。
その胸中深く、"常勝"の誓いが刻まれ、目覚めた民衆の大行進が始まったのだ。
青年たちは、仕事や学業のあと、息せき切って、練習会場に駆けつけ、必死に、負けじ魂をたぎらせて練習に汗を流した。
草創期を戦った壮年や婦人は、毎日のように応援に訪れ、連れて来た孫たちに言うのである。
「よう見とき、あの懸命に頑張る姿が関西魂や! 学会精神や!」
草創の同志は、後継の若師子たちが、見事に育ち、魂のバトンが受け継がれていくことに、喜びと誇りを感じたのである。