小説「新・人間革命」  誓願 八  2018年4月3日

大阪の庶民のなかに身を投じ、"この世の悲惨をなくす""誰一人として幸せにせずにはおくものか!"と誓った戸田城聖の一念──それは即「平和の心」にほかならなかった。
山本伸一は、この戸田の心を胸に、その実現のために、全精魂を傾けて奔走した。
そして、関西の同志は、伸一と共に戦い、権力の弾圧にも屈せず、民衆の幸と蘇生の歴史を綴ってきた。
まさに、"関西魂""学会精神"の継承のなかで、「平和の心」も受け継がれていくのである。
関西青年平和文化祭は、「平和宣言」へと移った。
関西青年部長の大石正志は、マイクに向かうと、「全関西の山本門下生十万の同志諸君!」と力強く呼びかけ、平和への誓いを読み上げていった。
 
「一、我々は、日蓮大聖人の仏法を広く時代精神、世界精神にまで高め、『生命尊厳・人間平和主義』の理念にのっとり、立正安国の恒久平和運動を展開しゆくことを誓う。
 
一、第二代戸田城聖会長の『原水爆禁止宣言』以来二十五年。今や、この不動の精神は第三代山本会長によって継承され、世界的な潮流となって民衆の共鳴を呼んでいる。我々は、この深き仏法者の信念より発した平和行動を、二十一世紀へ更に高めて、この宣言の透徹した理念を訴え続け、核兵器廃絶の実現を期す。
 
一、恒久平和建設の生命線は、民衆と民衆との連帯にかかっている。我々は、広汎なる世界の平和を希求する青年の力を糾合し、もって国連憲章の精神を守る新しい時代の国際世論を形成し、二十一世紀を、人類が希求する、生命・平和の世紀にすることを誓う」
 
この「平和宣言」は、競技場を埋め尽くした全員の賛同の大拍手をもって採択された。
平和運動には、運動を支える確固たる哲学が求められる。
仏法では、万人が「仏」の生命を具えていると説く。
つまり人間は、等しく尊厳無比なる存在であり、誰人も幸福に生きる権利があることを裏づける法理である。