三大秘法

用語説明
本門の本尊・本門の題目・本門の戒壇のこと。また事の三大事ともいう。この法門は法華経では如来寿量品第十六の文底に秘沈されており、如来神力品第二十一で滅後のために付嘱されている。三大秘法は大聖人によって初めて明確にうち立てられ、大聖人の仏法の根幹をなす。一般に仏道修行者の修学すべき根本道法を戒定慧の三学というが、日蓮大聖人は末法の三学とは三大秘法に他ならないと位置づけた。御義口伝巻下に「此の本尊の依文とは如来秘密神通之力の文なり、戒定慧の三学は寿量品の事の三大秘法是れなり」とある。即ち寿量品の如来秘密神通之力の体とは南無妙法蓮華経という本尊(一大秘法)であり、これを開けば三大秘法となる。教相の上では神力品で上行菩薩法華経本迹二門の要を四句の妙義に結んで滅後流通の為に付嘱されているが、大聖人はこの結要付嘱の文を依文として三大秘法を明らかにされた。即ち末法の要法は南無妙法蓮華経に他ならず、仏家の軌則である三学即三大秘法とする。御書の中、三大秘法の名義は、報恩抄、三大秘法禀承事などに示されている。本門の本尊(虚空不動定)とは根本として尊敬するものであり、衆生が信ずる対境をさす。弘安二年(一二七九年)一〇月一二日図顕の一閻浮提総与の本尊がこれにあたる。また、この本門の本尊は題目・戒壇の義を含むゆえに三大秘法惣在の本尊ともいう。本門の題目(虚空不動慧)とは、この本尊を信受し妙法を唱えることをいい、以信代慧の原理により自ら正しい智慧を生じ煩悩の束縛を脱して自由自在の境地を得る。本門の戒壇(虚空不動戒)とは本門の本尊を受持し修行する場所をいい、末法の戒は本門の本尊受持の一行とする。 →一大秘法、三学、四句の要法、受持即持戒、六大秘法〔参考〕如来神力品第二一〔法〕五八一、御義口伝巻下〔御〕七六〇、三大秘法禀承事〔御〕一〇二一/