2016-10-24から1日間の記事一覧

小説「新・人間革命」源流 43 2016年10月22日

山本伸一は、ナラヤナン副総長と一緒に、図書贈呈式が行われる会議室へと向かった。 副総長は、歩きながら大学の概要を説明し、「学生たちには、学べぬインドの民衆のために尽くしてほしいというのが私の願いです」と語った。 伸一は、全く同感であった。 “…

小説「新・人間革命」源流 42 2016年10月21日

ナラヤナン副総長は、一九二〇年(大正九年)に、インド南部のケララ州に七人きょうだいの四人目として生まれた。 家は貧しかったが、勉強が大好きな少年であった。兄や姉は自分たちが小学校に通うことを断念し、彼を小学校に行かせた。 彼は長い道のりを歩…

小説「新・人間革命」源流 41 2016年10月20日

山本伸一は、ジャッティー副大統領と会談した九日の午後、ニューデリーにあるジャワハルラル・ネルー大学を訪問した。 教育交流の一環として、図書を贈呈するためである。 同大学は、その名が示す通り、故ジャワハルラル・ネルー首相の思想を基調に、新しい…

小説「新・人間革命」源流 40 2016年10月19日

ジャッティー副大統領は、しばらく視線を落とした。憂いに満ちた目であった。 やがて、その目は、次第に輝きを増していくように感じられた。それは、未来を担う子どもたちのために、インドを発展させようとする決意の光であったのかもしれない。 今回の訪印…

小説「新・人間革命」源流 39 2016年10月18日

山本伸一は、日々、インドの指導者たちと会い、意見交換することが楽しみであった。 二月九日──空は澄み渡っていた。 午前十一時には、バサッパ・ダナッパ・ジャッティー副大統領をニューデリーの官邸に訪ねた。 官邸は、緑の多い官庁街の一角に立つ、白亜の…

小説「新・人間革命」源流 38 2016年10月17日

「だからこそ」──こう言ってカラン・シン副会長は、出席者に視線を巡らし、大きく息を吸い、さらに力を込めて語っていった。 「人類が将来も生存し続けるために、個々人が結束して、平和と調和をめざして努力しなければなりません。 人種、カーストなどで人…