小説「新・人間革命」  7月18日 友誼の道66

 山本伸一も、峯子も、子どもたちのなかに入って、楽しく交流した。一緒に輪投げもした。五目並べもした。

 模型飛行機を製作している部屋にも足を運んだ。楽しそうに作業に励んでいた少年に伸一が話しかけると、少年は胸を張って語った。

 「大きくなったら、本物の飛行機を造って日本へ行きます」

 伸一は答えた。

 「その時は、ぜひお会いしましょう。その飛行機にも乗せてください」

 少年は、ニコニコしながら、伸一の差し出した手を、ぎゅっと握った。

 子どもたちは、訪中団のために、演奏や歌も披露してくれた。

 伸一は語った。

 「今日は、皆さんの清らかな心に触れ、生命が洗われるような思いがしました。忘れがたい半日でした。

 皆さんは、未来からの使者です。人類の宝です。皆さんのことは、日本のお友だちにも、必ず伝えます」

 すると、一人の少女が代表して言った。

 「山本のおじさん。私たちは、中日両国の友好のために、山本のおじさんが大変に努力してくれたことを知っています。

 私たちは、日本の子どもたちと、友情を結びたいと思います。

 今日のことは、学校で、みんなに伝えます」

 一行は、子どもたちの笑顔と歓声に送られ、少年宮を後にした。

 伸一は、少年少女たちの、さわやかさ、清らかさに、感動を覚えた。その余韻は、いつまでも消えなかった。

 彼は、この子どもたちのためにも、日本と中国の万代にわたる友好の絆を、強く、固く、結んでいかなくてはならないと思った。

 さらに、頭に浮かぶのは、中ソの関係悪化の問題であった。

 “ひとたび中ソ間で戦争が起これば、この子どもたちはどうなってしまうのか……。

 かわいい少年少女たちのためにも、絶対に、中ソ間の平和を実現しなくてはならない。

 ソ連では、中国の人びとの思いを、力の限り、生命の限り、訴え抜こう”

 伸一は、固く拳を握りしめていた。

 強き信念と深き決意から発する、懸命にして誠実なる行動は、いかなる状況をも、必ず切り開いていくものだ。