小説「新・人間革命」  4月25日 波濤11

「波濤会」結成大会の開会が宣言された。宣言を行ったのは、結成準備委員会の委員を務めてきた久保田実であった。

 次いで、結成に至る経過を、同じく委員になっていた寺崎秀幸が報告した。

 さらに、委員の吉野広樹が、関東、関西での月例座談会の充実など、活動大綱を発表。

 そして、関西方面の船員メンバーの激励にあたってきた男子部の幹部が、「波濤会」の役員並びに会員を紹介した。メンバーの世話役となる委員長には、本部職員で男子部の全国幹部である井野道正が就いた。

 続いてメンバー三十七人の名前が、一人ひとり呼ばれていった。

 「はい!」という、はつらつとした声が、辺りの木々にこだました。どの顔にも、世界広布に生き抜く決意がほとばしっていた。

 このあと、四人の代表が抱負を語った。どの抱負にも、歓喜と決意がみなぎっていた。

 船内での孤独な生活のなかで、信仰を貫いてきた日々を振り返りながら、逆境に生きる自分たちこそが、広宣流布の開拓者なのだと、胸を張って力説する人もいた。

 委員長の井野は、「世界広布の先駆者たれ」「自己に挑戦し、信心の確立を」「船員界の革命児たれ」とのスローガンを発表し、メンバーの奮起を促した。

 続いて、男子部長があいさつに立ち、「波濤会」の出発を祝福。メンバーの今後の成長に期待を寄せながら、力を込めて訴えた。

 「本日、山本先生は出席されておりませんが、結成大会のことは、よくご存じです。

 私たちは、どこにいようが、先生の弟子です。大事なことは、それぞれが弟子として、師匠に勝ちましたと、ご報告できる、見事な実証を示すことです。その結果を携えて、来年も集い合おうではありませんか!」

 師に応えようと決意を定める時、わが胸中に師が存在する。その師を、決して見失わず、裏切らず、日々、精進を重ね、戦い続けるなかに、師弟不二の栄光の道が開かれる。

 師は、汝の心に、厳としてあるのだ。