小説「新・人間革命」8月22日 命宝46

十一月十日の午後二時からは、山本伸一が出席し、広島文化会館で原爆犠牲者の追善勤行会が行われた。これには、広島をはじめ、中国各県、海外の代表ら八百人が参加した。

 さらに、伸一は、勤行会終了後、この日、結成された、女子部の人材育成グループ「中国青春会」のメンバーと会い、励ましの言葉をかけ、記念撮影をした。

 また、夕刻には、文化会館前庭での、本部総会の役員らを慰労する集いにも出席した。

 彼は、各地の中心者たちに、よく、こう指導してきた。

 「総会などの大きな会合が成功すれば、それで、すべてが終わったように思ってはならない。まだ、後片付けが残っている。では、それを済ませば終わりかというと、そうではない。

設営、清掃など、陰で支えてくれた多くの人たちを、讃え、ねぎらって、すべてが終わるんです」

 この慰労の集いも、彼の指導をもとに、企画されたものであった。

 伸一は、ここでも、裏方となって奮闘してくれたメンバーをねぎらい、心から、御礼と感謝の言葉をかけていった。

 人への配慮のなかにこそ、慈悲があり、人間性の輝きがある。また、それを実践してきたところに、創価学会の強さがあるのだ。

 「広島会館に行こう!」

 慰労の集いが終わると、伸一は言った。

 今回、広島文化会館が誕生し、すべて、ここが中心となっているが、それまで、広島の中心会館となってきたのが、広島会館であった。

また、文化会館の落成は、十一月三日であったために、本部総会の準備も、実質的には、広島会館で行われてきた。

 伸一が、六年八カ月前に広島市を訪問した折も、広島会館で指揮を執ったのである。

 「あの会館にいる人を、激励したいね」

 彼は、会館の管理者や、任務についている牙城会のメンバーらを励ますとともに、一言でも御礼を言っておきたかったのである。