小説「新・人間革命」  1月21日 未来52

創立者山本伸一が、マレーシア創価幼稚園を訪問したのは、二〇〇〇年(平成十二年)の十二月のことであった。

 幼稚園の園舎に入ると、緑と白のシャツに緑の半ズボンの男の子や、赤と白のシャツに赤のスカートの女の子たちが、小さな手を盛んに叩いて歓迎してくれた。

 「ありがとう! みんな、頑張って勉強していますか!」

 伸一の呼びかけに、明るい声が、はね返る。

 「歌を歌おう!」

 彼が提案すると、すぐに元気な歌声が響いた。その歌声に合わせて、伸一は、手を振り、体を動かす。それを見つめる、園児たちの目がキラキラと輝いていた。

 園長から、子どもたちが、マレー語、中国語、英語を話せると聞いた伸一は、微笑みを浮かべて言った。

 「みんな、すごいね。将来は、世界中で活躍する人になるんだよ!」

 この日、彼は、記念植樹を行い、さらに「希望 勇気 友誼」という指針が刻まれた銘板の除幕式にも臨んだ。

 伸一は、妻の峯子に語った。

 「伸び伸びと、太陽の子どもたちが育っているね。嬉しいね。私は、この子どもたちの顔を、生命に刻んだよ。永遠に忘れることはないだろう。今日は“未来”と出会った思いだ。

その“未来”は、大きな希望の輝きに満ちている。

 このマレーシア創価幼稚園の園児たちを、いや、世界の創価教育の子どもたちを、私は生涯、見守り続けていくよ!」

 マレーシア創価幼稚園も、マレーシア模範の幼稚園として、高い評価を得ている。

 二〇〇九年(同二十一年)四月、マレーシア公開大学の代表が幼稚園を訪問した折、教育・言語学部の副学部長は、その感想を「美しい場所、美しい人びと、美しい子どもたち」と記している。

 その感嘆の言葉には、マレーシア創価幼稚園への、強い共感と期待があふれている。