小説「新・人間革命」  2月17日 学光18

山本伸一は、話を続けた。

 「皆さんのことは、学長や通信教育部の部長から、つぶさに話を聞いております。

 私は、通信教育の皆さん方に、ひとしお大きな期待を寄せております。

通信教育は、創価教育の父・牧口先生の一つの理想であり、皆さんこそ、その体現者であるからです。また、私も、同じ苦学の道を歩んで来た一人だからであります」

 “苦労”という教科を修得してこそ、人の苦労がわかり、人格も陶冶される。苦労は、大成のための必須科目である。

 伸一は、力を込めて訴えた。

 「通教生の皆さんは、短期間のスクーリングで、一年分の内容を吸収しようと挑戦されている。その向学心に敬服しています。

 来年もまた、勇んで大学にいらしてください。わが母校を愛して、学問を修得していってください」

 「はい!」という元気な声が響き、大きな拍手が起こった。

 「大変に盛り上がった教室ですね。エネルギーを感じます。突然、お邪魔して申し訳ありませんでした。お体を大切にして、どうか、このスクーリング期間中、元気で頑張り通してください」

 学生たちは、伸一を、嵐のような拍手で見送った。

 続いて彼は、法学部の通教生が「法学」の講義を受けている、S一〇一教室にも顔を出した。ここでも彼は、心から励ましの言葉を贈り、「創立者として、通教生の育成に全力を傾けていきます」と語った。

 そして、一人ひとりに視線を注ぎながら、「風邪をひかないよう。お元気で!」と呼びかけ、教室を後にしたのである。

 伸一は、このあと、各方面の通教生の代表十人と懇談することにしていた。大学からも、強く要請されていたのだ。

 彼は、早めに、文科系校舎の正面玄関前に行き、皆が来るのを待った。やがて、通教生の代表が校舎から出て来た。