小説「新・人間革命」2月19日 学光20

夏期スクーリングの前期の最終日であり、後期の初日に当たる八月二十五日の夕刻、体育館横のS二〇一教室を中心に「学光祭」が行われた。

これは、通教生を慰労し、親睦を深める"夏祭り"として、企画された催しであった。

 数日前、学長から、「学光祭」を開催するという報告を受けていた山本伸一は、皆に、飲み物や食べ物を届けることにした。

 また、その時、学長に言った。

 「楽しく、愉快な、催しにしてください。講義の内容は、忘れてしまっても、"楽しかったな。来てよかったな"という思い出は残ります。

そして、それが、学習意欲のバネになっていきます。だから、学長も学部長も、皆のなかに入って激励し続けてください」

 励ましは、人の意欲を引き出す。教育は、そこから始まるのだ。

 「学光祭」が終わると、帰る人もいれば、引き続き、後期のスクーリングに参加する人もいる。また、後期だけを受講するために、この日から大学に来た人もいた。

 教室の前には、「肩組み合って、共に学ぼう! 共に進もう! 我ら一期生」とのテーマが掲げられていた。寮ごとに出し物を用意し、舞踊、合唱など、"熱演"が繰り広げられた。

だが、練習する時間があまりなかったせいか、踊りも、歌も、なかなかそろわず、爆笑に次ぐ爆笑となった。シュプレヒコールで演技を締めくくるグループもあった。

 「われわれは、リポートを出すぞ!」

 「われわれは、来年も大学に来るぞ!」

 「われわれは、全員、卒業するぞ!」

 笑いに包まれた、和やかななかにも、決意が光っていた。固い誓いがあった。

 さらに、飛び入りの歌合戦も行われた。

 また、文科系校舎のロビーには、模擬店や金魚すくい、射的などのコーナーも置かれ、勉学の疲れを吹き飛ばす、ひと時となった。

 この「学光祭」は、毎年、夏期スクーリング中に行われ、創価大学に学ぶ通教生の伝統行事となっていくのである。