小説「新・人間革命」 3月26日 学光50
山本伸一がグラウンドに姿を現すと、大地を揺るがすような拍手と歓声が空に舞った。
彼は、「ご苦労様!」「ありがとう!」「おめでとう!」と、皆に語りかけながら手を振り、グラウンドを一周した。
第十回学光祭が始まった。
「通教常勝太鼓」が轟き、次いで、コミカルな動きを取り入れた「新学光体操」が披露されると、来賓席の伸一も立ち上がり、その動作を真似ながら、共に体操を始めた。笑いが広がった。
そこには、“ぼくらは一緒だ。断じて負けるな!”との思いが込められていた。
さらに、組み体操などが終わると、伸一は、招いていたイタリアの著名なオペラ歌手レオニダ・ベロンを紹介した。ベロンは伸一の要請に応え、通教生のためにカンツォーネの「オー・ソレ・ミオ」を熱唱した。
「オー・ソレ・ミオ」とは“私の太陽”の意味である。その歌声は、「学は光」との信念に燃え、向学の精進を重ねる通教生への応援歌ともなったのである。
伸一が、この席にベロンと共に出席したのは、通教生と一流の芸術家との、出会いの場をつくりたかったからであった。
さらに、五百人の合唱団による、愛唱歌「学は光」などの大合唱が続き、実行委員長による「光友の誓」の発表となった。
凛とした青年の声が響いた。
「一、我ら創価大学通信教育生は、勤労しつつ学ぶ人生に、最高の誇りと喜びをもち、建学の精神を実践し、社会に英知の光を放ちゆくことを、ここに誓います。
一、我ら創価大学通信教育生は、断じて初志を貫き、互いに啓発し合える人生の友との絆を深く結び、向学の志高く、自身錬磨の研鑽に挑戦しゆくことを、ここに誓います。
この誓いは、参加者全員の賛同の拍手をもって採択されたのである。