小説「新・人間革命」  4月14日 勇気11

 二部学生は、学生部の、さらに、学会の師弟の本流なのだ。すべての苦闘は、自ら願い求めた人生修行の場なのだ!
 藤森敦は、こう思うと、歓喜が胸に込み上げてくるのを覚えた。全身に力があふれた。仕事、学業、活動に、ますます情熱を燃やした。
 後年、彼は、副会長、団地部長、東京書記長、壮年部書記長等の重責を担い、学会の中核として、活躍することになる。
 国学院大学の経済学部第二部四年の田島尚男は、卒業を半年後に控えていたが、進路が定まらなかった。
だが、この二部学生大会で、居住している東京・多摩地区の市役所に勤めようと決意した。二部学生として培った力をもって、地域社会に奉仕するなかに、自己の使命があると考えたのだ。
 田島は、幼少期に家族と共に入会していたが、本格的に信心を始めたのは、二部学生になってからである。
 高校を出て浪人していた時、父親が勤めていた会社が倒産し、母親も早朝から働きに出るようになった。彼も予備校をやめて、アルバイトを始めた。そして、自分の力で大学に行こうと二部に入ったのである。
 二部学内では、先輩から、徹底して信心を教えられた。烈々たる気迫で指導された。
 「君は人生の大目的を、どこにおいているんだい。広宣流布という万人を幸福にする最高の目的に生きようと心を決めるんだ。そこに真実の幸福があり、人間革命がある」
 「二部学生は、仕事と勉強の両立なんか、あたりまえだ。職場でも、学業成績でも実証を示すんだ。さらに、地域での学会活動も、学内での活動も、すべてやり切るんだ。
それでこそ、自分を磨き、鍛え、人生の堅固な礎を築くことができる。
 不可能だ。ぼくにはできないなどと思うこと自体が、最大の敗因なんだ。自分で限界の壁をつくってしまっているからだ」
 「ぼくらがめざすのは山本先生だよ。先生はどんな戦いをされたか、先生ならどうされるかを、常に考えて生きるんだ!」