小説「新・人間革命」 4月22日 勇気18

 「私にとっての反戦運動」とのテーマで登壇した青年は、核軍拡競争に明け暮れる大国の現状に触れ、国家やイデオロギー優先の思想に代わって、人間優先、生命尊厳の哲学を確立することが急務であると語った。
 さらに、人間の心に宿る他国や他民族への「不信」や「蔑視」を、「信頼」に転換するとともに、他者を支配しようとする魔性の生命を断じなければならないと強調。
それを可能にするのが、万人に仏の生命を見いだし、生命変革の道を示した仏法であると訴えた。
 そして、声を大にして、こう話を結んだ。
 「恒久平和への道は、決して遠くにあるのではありません。戦争を引き起こすのも、平和を築くのも人間です。
ゆえに、キャンパスで、地域で、生命尊厳の仏法哲理を伝え、民衆の心に反戦平和の砦を築いていくことが、最も本源的な平和の道なのであります」 「五月危機に思う」との主張では、いわゆる五月病の背景には、大学で学ぶことの確かな目的観の欠落があると指摘した。
 そして、「人間は、なんのために生きるのか」「生命とは何か」などの根本命題を学び問うことの必要性を力説。その問いの解答こそ、人間存在の意味を根源的に解明した仏法哲理にあると訴えた。
 「労働と人間完成」という主張を展開した青年は、自由の問題に言及していった。
 「人間が幸福を獲得するには、自由は不可欠ですが、外的な拘束がなく、自由な時間と金銭を持っていても、本当に自由であるとは言い切れません。
常に欲望に支配され、翻弄されていれば、欲望の鉄鎖につながれているに等しい。そこには、生命の解放はない。
 真の自由とは、自分の欲望を律し、いかに恵まれない、困難な環境下にあっても、それを自己の成長の飛躍台にしていく、生命の力そのもののなかに存在すると、訴えたいのであります」
 彼らには、仏法への大確信があった。広宣流布の使命に生きる歓喜と誇りがあった。
 それこそが、創価の言論運動の魂なのだ。