小説「新・人間革命」 4月23日 勇気19
ここで主張大会の実行委員長が登壇した。
彼は、社会の新潮流を創るべき学生の主張が、時代建設の言論となり得ていない現状を指摘し、その理由を分析していった。
「現代学生の言論が不毛となっている背景には、三つの欠如があると言えます。
第一に、生活者としての実践行動の欠如であり、第二に、社会建設への主体者意識の欠如であり、第三に、言論の支えとなる哲理の欠如であります。
それらを、ことごとく備えているのが、二部に学ぶ、われら学生部員であります。
近代日本を代表する思想家の内村鑑三は、記している。
「青年はこの腐敗せる社会の改善者なり、この世の新勢力なり、清流の源なり」(注)
それは、まさに創価の二部学生の心意気でもあった。青年が、新しき時代を創る魂の叫びを忘れたならば、未来は暗黒となる。
来賓たちは、学生の主張に対して、身を乗り出すようにして、真剣に耳を傾け、終始、賛同の拍手を送っていた。
ある大学教授は、終了後、頬を紅潮させ、希望を託すかのように語った。
「今の学生を見ていると、ごく当たり前のことでも避けることばかりを考える傾向が強いように思います。また、『なんのために生きるのか』『なんのために学ぶのか』という目標を喪失して、彷徨している学生が多い。
そのなかにあって、どんな困難にも敢然と挑戦していこうという力強い主張と、同じ目標に向かって進む、固い連帯の絆は、大変にすばらしいことだと思いました。
どうか、この健全な青年の輪を、今後、さらに拡大させてほしいと念願しています」
また、ある教員は、「真剣でエネルギーに満ちあふれた主張に、信仰のもつ力を、まざまざと感じました」と感嘆するのであった。