小説「新・人間革命」2010年 4月24日 勇気20

山本伸一は、「勤労学生主張大会」の報告を、担当幹部として出席した青年部の幹部から詳細に聞いた。
 伸一は、目を細めて、語り始めた。
 「そうか、大成功だったね。二部学生が、『飛翔会』の誇りを胸に、自ら言論の戦いを起こしたんだ。頼もしいじゃないか!
 指示されて動くというのではなく、自分たちが広宣流布のため、社会のために何が必要かを考えて、こうやって、積極的に挑戦していくことが大事だ。
青年が、それをやらなければ、学会の発展はなくなってしまう。
 本来、青年が集まれば、未来のために、こうしよう、ああしようという意見が百出するようでなければならない。その息吹、その模範が彼らにはある。嬉しい、本当に嬉しい」
 青年部の幹部は、さらに報告した。
 「田原学生部長の話では、『飛翔会』の結成以来、二部学生が精鋭五万結集の突破口を開き、大活躍しているとのことでした」
 「すごいことだな……」
 伸一は、嬉しそうに頷いた。そして、語気を強めて言った。
 「実は、そこに、『飛翔会』の永遠の使命があるんだ。学会は、将来、広宣流布の重要な局面となる戦いを、何度も越えなくてはならないだろう。
皆が"勝てない"とあきらめたり、戦うポーズや口先だけで、真剣勝負を避けようとしたりすることもあるかもしれない。
 その時に、『わが戦いを見よ!』『勝利をもぎ取る真剣勝負とは、こういう戦いをいうのだ!』と、猛然と先駆し、大勝利の突破口を開くのが『飛翔会』だ。
 つまり、決戦の責任をもつ、一騎当千の闘将の集いとして、私は『飛翔会』をつくったんだ。
彼らは、必ずやってくれるだろう。私と同じ、青春の道を歩んだ弟子だもの。山本伸一の後継の集いじゃないか。
 私は、みんなを信じている。三十年先、四十年先に、厳たる歴史として、彼らは、それを証明してくれるはずだ」
 師の心に、応えるのが弟子である。