小説「新・人間革命」 5月 4日 勇気28
共感することによって、行動するのが人間である。ゆえに、リーダーが臆し、ずる賢くなって、率先して行動せずに、皆を動かそうとしても、動いてくれるわけがない。
すると、リーダーは焦りを感じて、その言動は、ともすれば、威圧的、命令的になっていく。そして、組織は、重く、暗くなり、人心は、ますます離れてしまうことになる。
それに対して、率先垂範のリーダーは、自らの行動を通して人に触発を与え、人びとの“やる気”を引き出し、皆の自主性、自発性を呼び覚ましていく。
ゆえに、その組織は、明るく、歓喜にあふれ、上昇気流に乗るように、勝利への流れがつくられていくのだ。
そして、こう訴えたのである。
「その戸田先生の心を、わが心として、先生に代わって戦おうではないですか!
そうすることによって、私たちは、広宣流布の闘将である先生に直結していくことができる。そこに力がわくんです。
先生を思えば、勇気がわきます。自分が鼓舞されます。
どうか、常に戸田先生を心に思い描いて、“先生は、じっと見ていてくださる”“先生なら、どうされるか”と、日々、己心の師匠と対話しながら、戦っていこうではありませんか!」
広宣流布の戦いを進めるうえで、仏法の師と心を合わせていくことこそが、団結の根本である。そこに勝利への前進がある。
自転車も、車軸にスポークがしっかりと繋がってこそ、車輪の回転がある。この車軸の存在が師匠にあたるといってよい。