【第15回】 師弟の凱旋曲よ轟け 三重  2010-4-24

きょうも誓いの道を朗らかに
 
 学会歌「今日も元気で」は、朝、昼、晩、どんな時も、広布に颯爽と駆けゆく心意気を歌った曲だ。何より、「先生 先生」という歌詞から、師匠を求める心がストレートに伝わってくる。
婦人部の愛唱歌だが、この歌は、三重の同志にとって、創価の正義を満天下に示した"師弟の凱旋曲"であった。
 昭和53年(1978年)4月21日、第1回「三重文化合唱祭」が開催される2日前。松阪市の体育館でリハーサルが行われた。予定していた演目のなかで、婦人部の合唱「今日も元気で」だけが歌われなかった。
 本番の合唱祭には、僧俗和合を願って宗門の坊主も招待していた。第1次宗門事件の渦中である。創価の師弟の大前進を妬み、非難中傷に狂奔する悪侶らであった。あえて刺激しないよう自粛が決まった。
婦人部幹部の胸には、落胆する友の顔が浮かんだ。
 この日、池田名誉会長は決然と中部入りした。
 「先生の前で『今日も元気で』を歌いたい!」。やむにやまれぬ婦人部の強い思いが状況を一変させた。
 "学会の会合で、学会の歌を歌って何か悪いのか!"
 名誉会長は厳然と語った。"一番、頑張っている婦人部に、かわいそうな思いをさせてはいけない"
 23日、白山《はくさん》町の三重研修道場で開かれた合唱祭。壮年部、男女青年部、未来部……皆、師を求めて、声を張り上げた。圧巻は、婦人部「青空合唱団」の歌声!
 
 あかるい朝の  陽をあびて…  うれしい時も  かなしい時も  かわす言葉は  先生 先生  われらの先生…
 
 指揮をした杉野美代子さん感動で震えた。
 「指揮をする私の頭の上を、凄いエネルギーの固まりが『先生! 先生!』という歓喜の叫びとなって、ゴーッと音を立てて、池田先生のもとへ飛んでいくようでした!」
 終了後、名誉会長は、真心の合唱に応え、ピアノに向かい"大楠公"などを演奏。その音律は、山間《やまあい》に力強くこだました。
 「あの時の歌声は、いつも耳に聞こえてくるね。忘れられないね」と名誉会長が折々に語っていたことを、後年、香峯子夫人が三重の友に明かしている。
 合唱祭は、約6000人が参加した大行事。翌日、名誉会長は、自ら近隣への挨拶に回った。
「これからもお世話になります」と雑貨店の店主と話し込んだ。町民と顔を合わせるたび、声をかけ、心を通わせた。
 広布一筋の同志宅へも。地域の草分けである三浦かつみさん宅は、合唱祭の準備や待機場所に使われた。
 仕事や家庭のことを尋ねた。祖母・波多野光枝さんの旧習深い地域での苦労にも、じっと耳を傾け、「おばあちゃん、偉かったね。もう心配しなくていいよ。私が来たんだから」。50分があっという間たった。
 一度の出会い、一回の語らいに、全力を注ぐ。その真心が信頼を広げる。友に勇気をわき立たせる。
 平成2年(1990年)5月、三重研修道場のある同じ白山町内に、中部池田記念墓地公園が開園。名誉会長は3度にわたって訪問している。今、地域に開かれた"安らぎの園"として、友情の花盛りだ。
 名誉会長は詠んだ。
 
 三世まで   同志の君と   語らむと   白山天地の  幸の城かな
 
 三重の同志の心意気は、少しも変わることはない。「先生! 先生!」と、きようも朗らかに誓いの道、弟子の道を歩みゆく。