小説「新・人間革命」 厳護 32 1月17日
「創価班」は、決然と立ち上がった。青年たちの若々しい力によって、学会の前進の歯車は、唸りをあげて回り始めたのである。
――「創価班」を、山本先生の心を体した、学会精神あふれる、理想的な人材育成機関にするためには、どうすればよいか。
「山本先生は、『創価班』に、学会を守り抜くように指導されたが、『輸送班』の時代から、先生が、常に教えてくださったのは、『学会厳護』の精神だった。
そして、その精神を体現できるようにするために、教育、訓練にも力を入れてくださった。これは、今後も、絶対に継承していかなければならないことではないかと思う」
「同感だ。訓練というと、何か古いことのように思われがちだが、一つ一つのことを、本当に身につけていくには、体で習得していく以外にない。したがって、これからも訓練が不可欠だ」
「そうだね。そして、各人が、『創価班』で受けた教育、訓練をもとに、日々の生活のなかで、それを、さらに自分のものとし、社会にあって、大いに力を発揮できるようにしていくべきだ。
御聖訓には「金は・やけば真金となる」(御書一〇八三ページ)と仰せである。人材も鍛錬を重ねなければ、大リーダーには育たない。鍛えこそ、大成の要件である。
「輸送班」の時代から、メンバーは、輸送の絶対安全を確保し、学会員を守り抜くために、時間厳守などを確認し合い、互いに厳しい訓練を課してきた。
もし、着任の際に、万が一にも、輸送班員が遅れるようなことがあれば、大事故につながりかねないからだ。
また、休暇を取って、任務に就くには、職場の信頼を勝ち取らねばならない。したがって、職場でも、毎日が戦いであった。