小説「新・人間革命」 厳護 35 1月20日
古代ローマの詩人ホラティウスは、「訓練で隠された力が発揮されるのだ」(注)と述べている。
頭で理解し、わかっていることと、実際にできることとは違う。災害の時なども、知識はあっても、いざとなると、体がすくんで動けなくなるケースが少なくない。
訓練を繰り返し、習熟していってこそ、教えられたことが、実際に行えるようになるのだ。訓練とは、体で、生命で習得していくことである。
現代社会の問題点の一つは、人命などを守るために、青年たちが訓練を受ける機会が、ほとんどないことといえよう。
そうしたなかにあって、創価学会は、青年を鍛錬し、教育する、社会貢献の一大研修機関の役割を担ってきた。
「創価班」では、「輸送班」以来の実地訓練を大切にし、その精神を受け継ぐとともに、さらに、新時代のリーダーにふさわしい教育ができるように、検討を進めていった。
メッセージや随筆、詩なども贈った。「創価班」を讃え、詠んだ歌や句は、数限りない。伸一は、彼らが体を張って、学会厳護の使命を果たしていることに、応えたかったのである。
寒風に 一人立ちたり 創価班
「学会を護る」「会員を大切に」「陰の戦いに徹する」を基本精神とする「創価班」は、まぎれもなく、伸一の精神を実践している弟子である。ゆえに、彼らこそ、後継の宝の人材であると、伸一は強く確信していたのだ。
ともあれ、伸一は、一九七七年(昭和五十二年)の本格的なスタートを、「創価班」と共に、青年と共に切った。
それは、青年が全面に躍り出て、青年が戦う、炎のごとき青年学会をつくろうとする、彼の決意の表明であった。